2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21000003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 広文 東京大学, 大学院理学系研究科, 准教授 (20322034)
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Project Period (FY) |
2009-05-08 – 2014-03-31
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Keywords | 原子・分子物理 / 高性能レーザー / 配列・配向分子 / 高次高調波発生 / 搬送波包絡位相 / トンネルイオン化 / 超閾イオン化 / プラズマシャッター |
Research Abstract |
1. 静電場と楕円偏光したレーザー電場の併用により、レーザー電場の遮断直後にレーサー電場の存在しない条件下での3次元的な配向制御の実現に初めて成功した。試料として分子偏向器で初期回転量子状態を選別した3,4-ジブロモチオフェン分子を用いた。プラズマシャッター技術でナノ秒パルスを急峻に遮断すると、~5ps程度は十分に高い配向度を維持できることを確認した。 2. ナノ秒2波長レーザー電場のみを用いる全光学的な配向制御手法にプラズマシャッター技術を適用し、静電場も存在しない完全にフィールドフリーな条件下での配向制御の実現を目指す実験を推進した。2波長レーザー電場として、ナノ秒Nd : YAGレーザーの基本波とその第2高調波を使用して、当初の目標であった配向度<cosθ>≧0.1を達成できる目処をつけることに成功した。2波長レーザー電場の偏光方向を平行、及び交差させることにより、それぞれ1次元的、及び3次元的な配向制御が可能となる。さらに、プラズマシャッター技術で2波長レーザー電場を遮断した直後に、静電場も存在しない完全にフィールドフリーな条件下での配向制御が可能となる。 3. 配列・配向した分子試料から発生する高次高調波の観測に基づく分子イメージング法の高度化のために、昨年度までに開発した強度スペクトルに加え位相スペクトルも観測する装置を用い、Ar、Kr、及び配列したN_2分子から発生する高次高調波の隣り合う次数間の位相差の観測に成功した。今回、いわゆるnear-threshold領域の高調波に着目して実験を行い、「超高速分子イメージング」技術の高度化に資する有益な情報を得ることに成功した。 4. フェムト秒の2波長パルスと1波長パルスで生成された分子の回転波束からトンネルイオン化で生成される光電子の異方性の異同を電子・イオン多重同時計測運動量画像分光装置で明らかにする実験を推進した。
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