2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21000006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Specially Promoted Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸岡 啓二 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20135304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 卓也 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20437198)
茂木 真 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10546980)
加納 太一 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (40372560)
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Keywords | 高性能有機触媒 / キラル相間移動触媒 / 環境調和型 / 共役付加反応 / エナンチオ選択的 / マンニッヒ反応 / アゾメチンイミン / 交差型アルドール反応 |
Research Abstract |
本研究では有機触媒の性能に応じて、高性能有機塩基触媒、高性能有機酸触媒、高性能有機酸塩基複合触媒、高性能有機ラジカル触媒という四つの研究項目に分けて、高性能有機触媒の合理的なデザインを目指すとともに、これら高性能有機触媒を駆使して精密有機合成反応を開拓する。まず新規キラル相間移動触媒として、二官能性キラル相間移動触媒を更に改良し、環境調和型の不斉変換反応の開発を試み、中性条件下における不斉アミノ反応の開発に成功した。また、ニトロ酢酸エステルのマレイミドへの不斉共役付加反応にも取り組み、高収率・高エナンチオ選択的反応を達成した。一方、光学活性ビナフチルジカルボン酸触媒の研究においては、オキサゾリジノン基を有するα-ジアゾエステル類の不斉マンニッヒ反応による選択的な三置換アジリジン骨格の不斉合成を達成するとともに、非環状アゾメチンイミン種の発生と合成的活用に関して検討し、α-ジアゾエステルとの不斉マンニッヒ型反応の開発に成功した。キラル第二級アミン触媒を用いることによって、脂肪族アルデヒド同士の交差型アルドール反応を選択的に起こし、シン-及びアンチ-交差型アルドール体が選択的に合成できた。さらに、第1級アミノ基を有する光学活性アミノスルホンアミド触媒を新たに調製し、水の添加効果による反応性及び選択性への影響が精査され、アルドール反応において高収率・高立体選択性を得ることに成功した。有機ラジカル触媒の研究では,今のところ満足のいく結果は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
着実に成果が出ており、また中間ヒヤリングでもA評価を頂いた。
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Strategy for Future Research Activity |
有機触媒の種類に応じて、高性能有機触媒の合理的な設計と創製を目指す。 [1]高性能有機塩基触媒の創製と合成的応用では、医薬品開発において重要なα,α-ジアルキル-α-アミノ酸合成に有効な、高活性キラル相間移動触媒の創製を目指す。これまでに得た触媒開発の知見を基に、触媒のビフェニル骨格の二面角を精密に制御することで、これまでにない高活性触媒を創製する。また、中性条件下で進行する不斉相間移動反応の開発では、反応系の有用性を広範な不斉反応へと展開するため、新たなキラル相間移動触媒の創製を目指す。 [2]高性能有機酸触媒の創製では、新たな概念を導入した酸触媒の創製を目指す。具体的には、基質の活性化部位となるアキラルなブレンステッド酸と不斉認識部位である配位子とが、ボロン酸エステルの生成を鍵とする自己集合によって活性な触媒となるような新しいシステムを開発する。さらにアキラルな酸と不斉配位子との自己集合による反応促進能を有する触媒とすることで、酸に対し高価な不斉配位子の当量をさらに低減することが可能となり、低触媒量の実現にも寄与できる。[3]高性能有機酸塩基複合触媒の創製では、アキラル添加剤による触媒の反応中心でのキラル環境変化という新しい概念をさらに広げて行きたい。この手法の新たな取り組みとしてアキラル添加剤による触媒ジアステレオ選択性の逆転があり、不斉合成反応に応用することによって、両方のジアステレオ生成物を簡便に得たい。また、これまで使用が困難であった基質の反応を実現することで、エナミン経由型反応の適用範囲の拡張を目指すとともに、有用な生理活性物質の合成に応用する。[4]高性能有機ラジカル触媒の創製では、リン酸ジフェニル超原子価ヨウ素剤の創製を試みたい。
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