2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21000006
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Principal Investigator |
丸岡 啓二 京都大学, 理学研究科, 教授 (20135304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂木 真 京都大学, 理学研究科, 助教 (10546980)
橋本 卓也 京都大学, 理学研究科, 助教 (20437198)
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Keywords | 高性能有機触媒 / キラル相間移動触媒 / 不斉アルドール反応 / 環境調和型 / 酸塩基複合触媒 / キノンイミンケタール / 不斉Diels-Alder反応 / 有機ラジカル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では有機触媒の性能に応じて、高性能有機塩基触媒、高性能有機酸触媒、高性能有機酸塩基複合触媒、高性能有機ラジカル触媒という四つの研究項目に分けて、高性能有機触媒の合理的なデザインを目指すとともに、これら高性能有機触媒を駆使して精密有機合成反応を開拓した。まず、二官能性キラル相間移動触媒を更に改良し、環境調和型の不斉変換反応の開発を試み、中性条件下における不斉合成反応を幾つか開発することに成功した。一方、有機酸塩基複合触媒の反応としては、新たに開発したα-チオアセトアルデヒドを求核剤とした不斉アルドール反応及びマンニッヒ反応において、ビアリール骨格を有するアミンスルホンアミドが触媒として有効であることを見出し、光学活性硫黄化合物の合成法を確立した。また、系中発生させたニトロソカルボニル化合物を求電子剤とした新たな立体選択的な炭素-窒素結合形成反応であるヒドロキシアミノ化反応において、アミン有機触媒としてα-トリチルピロリジンを用いることで、高い立体選択性が得られることを見出した。光学活性ビナフチルジカルボン酸を利用した不斉合成研究では、キノンイミンケタールという基質に内在する二つのアルケンのうち、立体的に不利な側で位置選択的に反応する不斉Diels-Alder反応を開発することに成功した。またカルボン酸触媒の研究過程においてボロン酸触媒で高エナンチオ選択的不斉合成が可能であることが見出され、新しい研究の端緒も得られた。有機ラジカル触媒としては、光学活性チイルラジカル触媒を利用した高エナンチオ選択的ラジカル環化反応を世界に先駆けて実現することができた。有機ラジカル反応剤として、超原子価ヨウ素触媒を用い、温和な条件下でアルデヒドからアシルラジカルを発生させることに成功し、α, β-不飽和カルボニル化合物との炭素-炭素結合形成が可能になった。一方、有機不斉ラジカル触媒として光学活性チイルラジカル触媒の開発に成功し、世界に先駆けて不斉ラジカル環化反応を高立体選択的に進行させることに成功した。また本成果に基づき、チイルラジカル触媒のデザインによりこれまでにない新しい反応を実現できることを見出している。
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Research Products
(14 results)