2011 Fiscal Year Annual Research Report
MEMSと実時間TEM顕微観察によるナノメカニカル特性評価と応用展開
Project/Area Number |
21000008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 博之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90134642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋口 原 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (70314903)
佐々木 成朗 成蹊大学, 理工学部, 教授 (40360862)
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Keywords | MEMS / TEM / 第一原理計算 / ナノコンタクト / ナノハンドアイシステム / 高温拡散 / ナノ熱伝導 / ナノトライボロジー |
Research Abstract |
日23年度は本格的に各種研究テーマの推進に注力し、拡散接合機構の解明、ナノ熱特性評価、繊維状ナノ材料特性評価、ナノトライボロジーにおいて、以下の研究成果を得た。 【拡散接合機構の解明】ナノ熱特性評価により開発した局所加熱ヒーターを組み込んだデバイスの対向針に金を蒸着した。この対向針間で放電することで、シリコン表面に金ナノクラスターを付着させ、フレッシュな金シリコンナノ界面を形成した。局所加熱ヒーターで加熱することで、高温における金シリコンナノ界面における反応を観察することに成功した。金がシリコン側に断続的に拡散する様子と金ナノクラスター表面においてナノ結晶が成長する様子を確認した。 【ナノ熱特性評価】H22年度に発見したシリコンナノ接点における高い熱伝導率の解釈を行った。解釈結果によると、シリコンナノ接点の長さがフォノンの平均自由行程以下になることで、フォノンのバリスティック伝導が引き起こされ、それに伴いバルクよりも大きな熱伝導率が観測されていたことがわかった。 【繊維状ナノ材料特性評価】ナノピンセットを用いて微量分子を捕獲したことを検出するために、これまでは蛍光顕微鏡による観察を用いたり、微量電流変化を検出することで行ってきた。今回は極微量分子捕獲を行うため、従来手法に比べ検出感度の高い手法として近接場光を用いた手法を採用することにした。これを実現するため、分子ピンセット先端部を対向型近接場プローブとするプロセスを開発した。 【ナノトライボロジー】直径数nmの銀ナノ接点におけるせん断変形の観察を行ったところ、スティック-スリップ現象のようなせん断変形を確認した。このスティック-スリップの距離は銀の格子間隔に相当し、原子構造由来の量子的な機械特性である可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画は、評価系の拡張、拡散接合機構、電気接点劣化、繊維状ナノ材料特性評価、ナノ熱特性評価、トライボロジー、理論計算である。評価系の拡張は掲げた目標を完全に達成しており、拡散接合機構も8割がた達成している。電気接点劣化は本年度の後半から開始する材料比較には未到達であるが、金の電気接点においてさまざまな劣化実験を既に行っており、8割程度の到達率である。ナノ熱特性評価は材料依存性に関して未着手であるが、計画以上のペースで進展している。トライボロジーも負荷加重依存性に関して未着手であるが、計画以上のペースで進展している。理論に関しては、シリコンナノ接点の解釈を進めており、8割程度の到達率である。繊維状ナノ材料特性評価はデバイスの製作が予想以上に困難で、3割程度の到達率である。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画通り研究を推進する。拡散接合機構はナノ熱特性評価で培った局所加熱技術を応用し高温での拡散の観察を行う。電気接点劣化は材料を金からルテニウムに変更し、劣化実験を行う。ナノ熱特性評価は材料をシリコンから金などに変更し、熱伝導実験を行う。トライボロジーは垂直抗力を高感度で計測可能なデバイスを開発し、実験を行う。 ただし、繊維状ナノ材料特性評価と理論計算については以下のように現在までの研究結果を鑑みて研究計画を変更する。繊維状ナノ材料特性評価は極微量分子の検出が困難であったため、従来の蛍光や電流モニタによる検出方法から近接場光を用いた新規な検出手法を試みる。理論計算については、実験班の研究結果との一貫性を鑑みて、当初予定していた密度汎関数法・マルチスケール法など数値手法の開発に重点を置いたものから、シリコン、銀、その他金属など実際の測定結果を解釈するための理論モデル構築に重点を置いたものへとシフトする。
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[Journal Article] Exceptional plasticity of silicon nanobridges2011
Author(s)
T.Ishida, F.Cleri, K.Kakushima, M.Mit, T.Sato, M.Miyata, N.Itamura, J.Endo, H.Toshiyoshi, N.Sasaki, D.Collard, H.Fuiita
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Journal Title
Nanotechnology
Volume: 22
Pages: 355-704
DOI
Peer Reviewed
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