2010 Fiscal Year Annual Research Report
非イメージ形成の視覚機能の探究と健康に寄与する光環境デザインへの展開
Project/Area Number |
21200003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古賀 靖子 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (60225399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高雄 元晴 東海大学, 情報理工学部, 准教授 (90408013)
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Keywords | 建築環境・設備 / 生理学 / 視覚 / ipRGC / 概日リズム / 網膜神経節細胞 / 瞳孔反射 / 錐体 |
Research Abstract |
非イメージ形成の視覚とは、外界の情報を意識に上らせないが、概日リズムの光同調および関連するホルモン分泌、瞳孔の対光反射など、種々の生理的応答を引き起こすものである。本研究は、概日リズムの調節に関して非イメージ形成の視覚の特性を明らかにしようとするものである。 ヒトにおいて、瞳孔反射測定から非イメージ形成の視覚の分光感度とその加法性を詳細に検討するため、データの収集と蓄積を継続している。また、覚醒水準に対する光環境の影響を調べるため、空間の明るさと光色の異なる環境下でVDT作業をさせ、作業者の心理生理評価を行った。既往の研究で、青色光成分の多い高色温度光による照明の方が、一般的な白色照明よりも作業者の主観的な覚醒水準を高めるとされているが、覚度測定の結果、必ずしも高色温度光が覚醒水準に影響するものではないことが得られた。ただし、作業者の心理生理評価に対して、光量と光色には交互作用があった。すなわち、高色温度光を用いる場合、空間の明るさは、一般的な白色照明の場合より下げるのが良いと言える。さらに、昼光の射入のない人工照明のみによる労働環境について、光環境の状況と作業者の睡眠状況を調査した。睡眠の質の確保に対して、光環境だけでなく、適切な運動も効果があることが示唆された。 マウスにおいて、覚醒に係わる青斑核と縫線核のニューロン活動と光入力との関係を、免疫組織化学的に検討した。波長の異なる単色光刺激を1時間呈示した後、各神経核のニューロンにおけるc-Fos(神経活動のマーカー)の発現量を比較した。光入力はc-Fosの発現、すなわち覚醒亢進に対して抑制的に働き、その効果は、長波長光に比べて短波長光の方が高いことが得られた。また、単色光刺激を用いたプレパルス抑制テストを行って、覚醒水準(注意)の上昇の分光応答特性を調べることとし、そのための光刺激装置を製作した。
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Research Products
(8 results)