2009 Fiscal Year Annual Research Report
模擬原始地球の化学素材で構成するRNAの試験管内分子進化
Project/Area Number |
21200004
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川村 邦男 Osaka Prefecture University, 大学院・工学研究科, 助教 (50204772)
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Keywords | 生命起源 / RNAワールド / 核酸化学 / 人工生命 / 実験進化学 / 化学進化 / RNAの自然選択 / 分析化学 |
Research Abstract |
RNAの試験管内分子進化法は,生命起源の研究手段および創薬ツールとして急速に発展してきた.しかし,ランダムDNAプールやPCR法などの分子生物学的手法が必要などの点で,原始化学進化を検証する手法として大きな課題がある.生命起源の新しい研究ツールを得るために,原始地球上に存在したと考えられる前生物的素材を用いて新しいRNA分子進化系を構築する,初年度はRNAの(1)ランダム生成,(2)自然選択,(3)複製・増幅・変異の各プロセスの統合に向けて(1)と(2)を検討した.4種類(G,A,C,U)のヌクレオチドモノマーについて,5'-位リン酸をイミダゾールで活性化した活性化ヌクレオチドを合成と,モンモリロナイト粘土触媒の調製を行った.これらを用いて4種々の塩基からなるRNAの生成を試みた. (i)分析法の検討:HPLC,本研究課題で取得したキャピラリーLC,およびアガロースゲル電気泳動が利用できるかどうか検討した.単独種類の塩基からなるRNAはHPLCで分析し標準品と比較して鎖長を決定した.塩基種類の混合系では電気泳動を試みた.ただし,生成物の鎖長が短いため分離は難しく,キャピラリーLCを用いて検討を行っている. (ii)反応挙動の解析:混合系でもRNAが生成することを確認した.鎖長は単独の場合と近いことがHPLC分析から推定された.また,GおよびAを含む系では粘土触媒に強く吸着したので生成物の脱着を行い,総生成量を明らかにした.RNAモノマーを逐次添加することで,長鎖長RNAの生成を試みた.HPLC分析でも鎖長の増加は認められたが50鎖長程度のものは確認できなかった.電気泳動法の確立とプライマーの利用を検討すべきであることを知った. (iii)RNAの熱安定性:熱水フローリアクターを用いて,4種類の異なるRNAの熱安定性を分析した.
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