2010 Fiscal Year Annual Research Report
模擬原始地球の化学素材で構成するRNAの試験管内分子進化
Project/Area Number |
21200004
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
川村 邦男 広島修道大学, 人間環境学部, 教授 (50204772)
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Keywords | 生命起源 / RNAワールド / 核酸化学 / 人工生命 / 実験進化学 / 化学進化 / RNAの自然選択 / 分析化学 |
Research Abstract |
RNAの試験管内分子進化法は,生命起源の研究手段および創薬ツールとして急速に発展してきた.しかし,ランダムDNAプールやPCR法などの分子生物学的手法が必要などの点で,原始化学進化を検証する手法として大きな課題がある.そこで,原始地球上に存在したと考えられる前生物的素材を用いて新しいRNA分子進化系を構築する.2年めはRNAの(1)ランダム生成,(2)自然選択,(3)複製・増幅・変異の各プロセスの統合に向けて(1)と(3)を検討した.4種類(G,A,C,U)の原始的な活性化ヌクレオチドを用いて4種々の塩基からなるRNAの粘土触媒生成反応と鋳型指示反応を試みた. (i)ランダムRNAの生成:4種類のモノマーの混合系から粘土を触媒として生成したRNAを構造解析した.具体的には,鎖長,塩基種類の割合,3',5'-結合の割合を明らかにした.この結果,混合系から生成するRNAはGを含むものが多いなどの偏りがあることを知った.この結果ランダムRNAの生成挙動について解析を終了した.(ii)LC分析法の検討:本研究で生成するRNA鎖長は10~30程度であり,HPLCでも電気泳動法でも分析しにくい.そこで,本研究に適した分析法の開発を試みた.(1)キャピラリーLCに逆相系モノリスカラムを用いると1鎖長分離が可能であった.(2)溶離液に尿素を加えることで,塩基種類にほぼ依存しない分離法を確立した. (iii)鋳型指示反応:原始RNAポリメラーゼモデルとしてポリシチジル酸とし活性化グアノシンモノマーを用いるとオリゴグアニル酸が生成するがその他の鋳型とモノマーの組み合わせでは反応は進まない.これを種々の塩基を含むモノマーの混合系について鋳型指示反応を成功させるために種々の触媒の探索を行ったが現在のところまだ成功していない.
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