2010 Fiscal Year Annual Research Report
Gタンパク質共役型受容体シグナル複合体の細胞表面発現調節メカニズムの解析
Project/Area Number |
21200007
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
助川 淳 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30187687)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 岳哉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10312696)
倉増 敦朗 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90302091)
斎藤 将樹 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (50400271)
|
Keywords | 受容体 / 細胞内輸送 / 細胞表面発現 |
Research Abstract |
本研究は、ヒスタミンH3受容体を例として、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)、またGPCRシグナル複合体が、小胞体から細胞表面に輸送される分子メカニズムを明らかにする事、特に受容体のカルボキシ末端細胞質内ドメインに結合するタンパク質の機能を明らかにする事を目的としている。 前年度までに、DRip78タンパク質がH3受容体カルボキシ末端細胞質内ドメインに結合する事、またDRip78の過剰発現により、細胞表面のH3受容体量が減少すると共に細胞内のH3受容体総量も減少する事、さらにこれらの現象にプロテアソームによるタンパク質分解系が関与することが明らかにされた。今年度は、H3受容体カルボキシ末端に、試験管内で、新たにCLIC6と呼ばれる細胞由来タンパク質が結合する事を確認した。CLIC6は細胞内クロライドチャネルタンパク質とされているが、膜に埋め込まれた分子としてだけでなく、細胞質に可溶性タンパク質としても存在している多機能タンパク質である。CLIC6はドパミンD3受容体と結合する事が報告されているが、我々の実験から、CLIC6がドパミンD1受容体とも特異的に結合する事が明らかとなった。この事から、CLIC6が、最近報告されたH3受容体とドパミンD1受容体による細胞内ヘテロ2量体の形成に関与している可能性が示された。H3受容体とドパミンD1受容体のヘテロ2量体の形成は、ヒスタミンのH3受容体を介した情報伝達に質的に大きな影響を与えるため、CLIC6がH3受容体の細胞内トラフィッキングと共に、情報伝達の質的調節にも関与している事が示唆された。
|