2010 Fiscal Year Annual Research Report
卵子大量調製系で探る、哺乳動物卵子のなりたちと新しい利用法
Project/Area Number |
21200018
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
本多 新 独立行政法人理化学研究所, 遺伝工学基盤技術室, 客員研究員 (10373367)
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Keywords | 莢膜幹細胞 / 卵巣 / 卵子 / 大量調製 / 卵巣再構築 |
Research Abstract |
本研究は、世界で始めて単離されたマウス莢膜幹細胞の培養方法を改変して、そこから新生仔由来未成熟卵子を大量に調製する研究を土台として、その大量に調製できる卵子を利用した解析を展開するのが目的である。これまでの成果から、マウス未成熟卵子を体外で(且つ、顆粒膜細胞や莢膜細胞との相互作用のない裸の上体で)大量に調製することが可能となったが、最近の成果として、培養方法に工夫を施すことにより、卵子の状態を格段に改善させながら、調製した卵子を体外で発育させることが可能になった。卵子の培養はその環境がその後の実験に大きな影響を及ぼすため、本件の土台部分を構築する成果と言える。今後は非常によい状態のまま発育させることのできた卵子を用いた産仔獲得を目指す。今年度は実際に卵子の再構築系を利用して産仔獲得に向けた実験を行った。当研究室では、胚性の始原生殖細胞と生殖巣の体細胞を凝集させて腎臓に移植することにより卵巣構造を構築できるような系の開発に成功した。この系を用いて、体外で調製・発育させた卵子と新生仔の卵巣体細胞と再構築して、この卵子が実際に発育・成熟して産仔を獲得できるような卵子になりうるか否かを検討する。何度か予備実験を行ったが、卵子と凝集させる生殖巣由来の体細胞を区別するためにGFPを発現するようなマウスを用いたところ、卵子が調製できなくなってしまうという事実が明らかとなった。今後は体細胞側をGFP発現細胞として再構築実験を行う予定である。実際に産仔となりうる卵子であることが証明できれば、本実験系により生じる卵子の質が保証されることとなり、その利用価値も格段に上がることが期待できる。
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