Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 哲 仙台高等工業専門学校, 情報通信工学科, 教授 (90171230)
村瀬 雅俊 京都大学, 基礎物理学研究所, 准教授 (10182122)
北條 祥子 尚絅大学, 総合人間科学部, 名誉教授 (90005033)
石堂 正美 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究プログラム, 主任研究員 (60211728)
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Research Abstract |
本年度は,電磁場過敏症の訴えを客観的に捉えるための実験プロトコル作成のため,ボランティア研究の基礎実験,疫学調査,細胞実験を相補的に行った.基礎実験では,マイクロ波曝露を盲験的かつ倫理的に許される範囲内で行うための実験プロトコルを検討した.具体的には,高感度のスペクトルアナライザを購入し,被験者に曝露を知られることなく,日常的環境での曝露及びスペクトルアナライザによるモニタリングを行いうる条件を実験的に明らかにした.疫学調査では,問診票を用いた電磁場過敏症調査のプロトコルを作成し,その疫学的有用性を統計的解析で明らかにした.細胞実験では,日常環境レベルの低周波磁場に曝露された細胞への生物学的影響について,一酸化窒素(NO)産生変化,及びコメットアッセイ法によって調べ,統計的有意な影響と,その影響が磁場の強度や周波数に依存するという興味深い結果が見出された.細胞実験で得られた知見を,電磁場過敏症の他覚的調査に用いる可能性を現在検討している. 細胞実験でも示されているように,電磁場の医学・生物学的影響は,様々な条件に依存し,確率的な意味での不確実性も高い.このような知見が非専門家としての市民にどのように認知され,疾病への理解がなされているのかを明らかにするため,公開シンポジウムを開催するとともに,一般科学誌において,科学的不定性と社会的判断に関する研究成果を発表し,不定性を踏まえた科学認識が市民に適切になされることが.科学研究自体の条件にもなっていることを明らかにした.
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