2011 Fiscal Year Annual Research Report
鉛同位体比法を用いた東アジア世界における金属の流通に関する歴史的研究
Project/Area Number |
21200028
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
平尾 良光 別府大学, 文学部, 教授 (40082812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯沼 賢司 別府大学, 文学部, 教授 (20176051)
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Keywords | 鉛同位体比 / 大航海時代 / 青銅器 / 鉛インゴット / 鉄砲玉 / Song Toh 鉛鉱山 / サンディエゴ号 / 佐渡金山 |
Research Abstract |
今年度は主として次のような研究を行った。 (1)韓国・木浦にある国立海洋博物館で共同研究発表会を開催した。この会議では韓国側15名、日本側から7名の研究者が出席し、現在までの成果を公表し、意見交換を行った。この成果を元に今後の研究協力を約束した。(2)その後、海洋博物館で展示されている新安沖沈船の調査を行い、船の構造と積み荷に関して調査した。当時の中国外航船が如何に頑強な構造であったかを改めて確認した。(3)日本に於いてもセミナーを開催した。別府大学の文化財研究所と共同して、戦国時代の鉛の流通に関して、今までの成果を公表した。約150人の聴衆が集まった。またこの会では大友宗麟ゆかりの大砲がロシアのペテルスブルクにあるという情報から、先方と連絡をとり、大砲の材料となった青銅に関して科学的な調査を行った。その結果、この大砲は中国産材料で作られており、しかも化学組成が、西洋でガンメタルと呼ばれる特殊な金属材料であることが判った。このことから、宗麟の紋章であるFRCOという文字が大砲に記されているだけでは、宗麟の大砲である確証とはならないことが示された。(4)戦国時代の資料として、前年までに発見したタイ・ソントー鉱山産の円錐形鉛インゴットが各地で発見されていることを確認し、その幾つかの鉛同位体比を測定した。すべてがソントー鉱山鉛と同一であることを確認した。それらをまとめると、大分県大友府内遺跡から1個、長崎市万歳遺跡から2個、高知市の岡豊城から1個である。タイ・バンコク近くのターマサラ遺跡から2個。この他に、五島列島の小値賀島で1個、静岡市の駿府城遺跡で1個確認されている。(5)これまでの3年間に亘る結果を約350頁にまとめ、本研究の成果報告書として、3月25日に発行した。
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Research Products
(1 results)