2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21200036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米田 美佐子 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (40361620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤幸 知子 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (50610630)
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Keywords | 麻疹ウイルス / ニパウイルス / 膜たんぱく |
Research Abstract |
前年度までに、蛍光標識したニパウイルスの膜蛋白を培養細胞内で発現させ、その挙動や集結点の観察を行なっていた。今年度は、感染状態における各タンパクの挙動を解析するため、蛍光標識した膜蛋白を発現する組換えニパウイルスの作製し、感染細胞内での各タンパクの挙動を観察することを試みた。3つの膜蛋白をそれぞれ蛍光標識するためのプラスミドを構築し、ウイルスのレスキュー実験を行ったが、実際に感染性ウイルスとして回収できたのはMタンパク標識ウイルスのみであった。この組換えウイルスを培養細胞に感染させることにより、興味深い挙動を示すことが見いだされた。ニパウイルスが細胞に感染し細胞融合を起こすと、核が特徴的な形態をとって集合するが、この動態にMタンパクが関与していると考えられた。また、ウイルスの出芽に関与すると報告されているアミノ酸部位を置換すると、その作用が見られなくなった。また、今年度はEGFPを発現するウイルスを用いてアフリカミドリザルの感染実験を行い、感染初期からのウイルス伝播をマクロに解析した。経鼻、経口摂取後初期に扁桃や気管などでウイルスの蛍光が観察され、その後腹腔内の臓器に広がり、脳においては接種後12から14日に前頭葉の脳蹄に蛍光が観察され始めた。ニパウイルスは非常に広範の組織に感染するが脳神経へ感染が広がることで致死的になると考えられているが、今回の観察結果から、脳への感染は全身感染後に起こることが明らかになり、その間の治療の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の1つの目標であった蛍光標識を用いたウイルス蛋白のリアルタイムでの挙動の観察は、培養細胞を用いた系ではほぼ達成できたと考える。ただ、動物個体を用いた実験や、脳初代培養細胞を用いた実験については当初の予定より、やや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた知見をもとに、ウイルス蛋白の細胞内での移動に関与する細胞膜構造体や細胞骨格の構成タンパクを同定し、ニパウイルスの成熟過程を明らかにしたい。
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Research Products
(6 results)