2011 Fiscal Year Annual Research Report
光応答性RNA結合リガンドを用いたRNA機能の制御
Project/Area Number |
21200042
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堂野 主税 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (60420395)
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 生体認識・機能化学 / RNA / RNA結合リガンド / 光スイッチ |
Research Abstract |
これまでに、RNAのGGミスマッチに結合することを明らかにした小分子リガンド(NCTX)を用いて、長鎖mRNAを標的とする翻訳抑制を検討してきた。平成23年度は、RNA-NCTXの複合体構造解析と、前年度に引き続き小分子リガンドNCTXを用いたRNA機能の制御を検討した。 1、RNA-NCTX複合体構造解析:RNAのGGミスマッチとNCTXの結合は、これまでにTm、MS、CD、顕微鏡解析等により評価してきたが、詳細な複合体構造は、分子モデリングシュミュレーションによる予測構造の域を出ていないのが実情である。GGミスマッチを含む短鎖RNAとNCTXの複合体構造のNMR解析を行なった。NOE解析により、リガンドーグアニンのスタック構造と、周辺塩基対の大きな構造の乱れが示唆された。詳細な複合体構造を得るため解析を進めている。 2、NCTXを用いた翻訳抑制:平成22年度に行なった、NCTXのmRNAの5'UTRへの結合による翻訳抑制を引き続き検討した。再構築型無細胞翻訳系を用いることで、NCTXの標的配列への結合に応じて、レポータータンパク質であるルシフェラーゼ、GFP発現量を抑制できることを確認した。再細胞抽出液を用いたタンパク質発現系についても検討を行い、同様の発現抑制効果を確認した。 3、NCTXを用いたタンパク質発現の光制御:光応答性部位としてアゾベンゼンをもつNCTX誘導体を用いて、外部刺激である光を用いたRNA機能制御を検討した。再構築型無細胞翻訳系を用いた評価法により、光応答性NCTXはアゾベンゼンがシス型構造において、標的mRMAに結合し、さらに、翻訳抑制を引き起こすことが明らかになった。一方、トランス型のNCTXでは、その翻訳抑制効果が低下した。続いて、翻訳系に光照射することにより、翻訳効率が変化することが確認され、小分子によるRNA機能の光制御を実証した。
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