2011 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー素粒子による固体地球内部のイメージング法の開発と火山・地震現象の解明
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21200049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 宏幸 東京大学, 地震研究所, 准教授 (20503858)
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Keywords | ミュオン / ラジオグラフィー / ボアホール |
Research Abstract |
当該年度は地下構造探査を目的としたコンパクトミュオンラジオグラフィー測定装置を開発した。地層中でのミュオン吸収、およびミュオンフラックスの仰角分布を考慮したモンテカルロシミュレーションを高速計算機を用いて処理することにより、ミュオンラジオグラフィー検出器面の幾何学的形状を最適化した。直径10cm程度のボアホールに挿入可能なように幅7cm厚み2cm、長さ1mの細長いシンチレーターからなる検出器テレスコープをデザイン、製作した。検出器テレスコープを既存のボアホールに挿入することにより、ボアホール近傍を透過してくるミュオンをカウントすることに成功した。第一ステップとして検出器テレスコープは地下水面がある地下10mの深さまで挿入され、地層の厚みに比例したミュオン強度の減衰を定量的に測定することに成功した。次のステップとして、検出器テレスコープの塩化ビニル素材を用いた耐水ケースを作成して、地下40m(水面下30m)の深さまで挿入して耐水試験を行った結果、3気圧の深さまでは本方式で水の浸入を防げることが分かった。このように、ボアホールに装置を挿入して断層破砕帯などのイメージングを可能にするための基礎技術を開発することに成功した。本研究における成果について、世界各国の同分野の中での位置づけを行うために国際会議を東京で開催した。会議にはアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、ニュージーランド、日本から60名余の参加者(内半数が海外)が集まり活発な議論がなされた。会議は成功を収め、当該分野における年次大会MNRのさきがけとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的の(1)浅間山内部の3次元イメージングを行うことで、火山噴火前後での火道中の物質移動を3次元的にリアルタイムに測定し、火山噴火イメージング法の基礎技術を確立した。(2)ボアホール内で測定可能なポータブル宇宙線ミュオン検出器の技術を創出した。糸魚川静岡構造線北縁部において断層破砕帯の中を流れる水流をミュオンで視覚化することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)をさらに発展させて、より短時間で外形情報を用いずに対象のスライスを行い、3次元的に対象断面の密度分布を導出する方法を開発、実証していく。(2)については、宇宙線ミュオンで断層破砕帯の中を流れる水流を資格化したという事実とボアホール内で測定可能なポータブル宇宙線ミュオン検出器の技術を組み合わせて、断層の3次元マッピングを目指していく。
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