2010 Fiscal Year Annual Research Report
動くアレーン遷移金属錯体が拓く触媒反応から分子コンピューティング開発まで
Project/Area Number |
21200054
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
神川 憲 大阪府立大学, 理学系研究科, 准教授 (40316021)
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Keywords | アレーンクロム錯体 / 面不斉 |
Research Abstract |
本年度では、本研究課題の動くアレーン遷移金属錯体の不斉源となる面不斉について光学活性なアレーンクロム錯体を如何に効率よく合成するかについて検討を行った。そこで、面不斉アレーンクロム錯体をキラルなオレフィンメタセシス触媒を用いた速度論的分割により、目的とするアレーンクロム錯体を光学活性体として合成する手法の開発を行った。はじめにアルケニル部位をベンゼン環上とホスフィン上にもつアレーンクロム錯体を合成し、閉環メタセシスを行うにあたって適切な環のサイズを検討した。その結果,クロム錯体上にビニル、ホスフィン上にアリル基の組み合せが最も適切であり、目的の環化体を高収率で合成できることがわかった。続いて、キラルモリブデン触媒を用いた不斉閉環メタセシスを活用し、面不斉について光学活性なアレーンクロム錯体を速度論的分割により合成した。その結果、環化体の面不斉アレーンクロム錯体を最高で96%eeという高い選択性にて合成することに成功した。また,環化体クロム錯体の絶対立体配置は,X線結晶解析により,S配置であることが分かった。
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