2011 Fiscal Year Annual Research Report
動くアレーン遷移金属錯体が拓く触媒反応から分子コンピューティング開発まで
Project/Area Number |
21200054
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
神川 憲 大阪府立大学, 理学系研究科, 准教授 (40316021)
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Keywords | アレーンクロム錯体 / 面不斉 / 立体選択的移動反応 |
Research Abstract |
本年度はクロムトリカルボニル基が共役した縮環多芳香環上を滑り動く「スリッページ」反応について検討を行った。このような金属部位の移動反応は、光や熱といった容易な外部刺激によって可逆的な分子運動を制御した分子スイッチに応用できることが期待される。我々はカルバゾールやナフタレンの一方の末端芳香環にTES基導入することで、両末端芳香環における立体電子的な違いを利用して、熱および光により可逆的にクロムトリカルボニル基を移動させることができることを見出した。さらに、強い電子求引性をもつクロムトリカルボニル基が縮環多芳香環上を移動することで、芳香環上の電子密度が大きく変化することを計算化学的手法を用いて確認した。 また、次に、申請者がこれまでに見いだした面不斉移動を基に、ビアリールモノクロム錯体のもう一方の芳香環に立体選択的にキラルビルディングブロックとなる面不斉を移動させ、さらに移動した面不斉を活用して、次の立体選択的な鈴木一宮浦反応に用いる。このように、1つの不斉源を移動させて繰り返し利用し、高度な螺旋状3次元空間構造化合物のビルトアップ合成を検討した。その結果、ビアリールクロム錯体から合成した軸不斉ターアリールにおける軸不斉を制御しながら、新たに導入した3つめの芳香環上に、クロムトリカルボニル基を移動させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標としていた3つのタイプの移動反応に対する、基礎的な研究を行うことができ、おおむね良好な成果が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題における推進方策は、当初霞標の設定の仕方、および計画が思い通りに行かなかった場合の軌道修正について、よく検討を行う.目標を高く設定している場合には、その目標までの工程をさらに細分化して、一定の成果を挙げられるように工夫を行う。
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[Journal Article] Kinetic Resolution of Planar-Chiral (h6-Arene) chromium Complexes by Molybdenum-Catalyzed Asymmetric Ring-Closing Metathesis2012
Author(s)
Ogasawara, M., Wu, W.-Y., Arae, S., T., Watanabe, S., Morita, Takahashi, T., Kamikawa, K.
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Journal Title
Angew. Chem. Int. Ed.
Volume: 51
Pages: 2951-2955
Peer Reviewed
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