2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ複核金属錯体を触媒として用いる二酸化炭素の資源化
Project/Area Number |
21200057
|
Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
永田 央 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 准教授 (40231485)
|
Keywords | 脱化石燃料 / 二酸化炭素削減 / 炭素循環 / 光合成 |
Research Abstract |
(1)各種ポルフィリン・フタロシアニンの銅錯体を触媒として用いて、二酸化炭素の電解還元を行った。種々の置換基を持つポルフィリンについて調べたところ、還元電位が正にシフトした電子不足のポルフィリン錯体では二酸化炭素との相互作用がむしろ弱く、フェロセン基準で-2.0V程度の還元電位を持つものが強い相互作用を持つことがわかった。また、二核化した錯体において還元電流の増大が観測され、複核化の効果があることを示唆している。DMF溶液中での定電位電解によって生成物を分析したところ、主要な生成物は水素または一酸化炭素であったが、銅フタロシアニンの電解でメタンの生成が確認できた。一方、触媒をグラッシーカーボン電極上に担持させて炭酸水素ナトリウム水溶液の電解を行ったところ、水素の発生量が著しく増大し、プロトンに対する二酸化炭素の過電圧の低下がまだ十分ではないことが明らかとなった。 (2)新しいヘテロ複核錯体として、亜鉛ポルフィリン・コバルト錯体連結化合物を合成した。この化合物は、光照射下でヒドロキノンをキノンに酸化し、同時にハロゲン化炭化水素の還元を行うことを明らかにした。この光反応では、光励起された亜鉛ポルフィリンがヒドロキノンによって一電子還元を受け、得られたアニオンラジカルがコバルト錯体を1価の状態に還元することで反応が進行すると考えられる。この新しい光反応における電子の流れは、植物の光合成の光化学系IIと類似しており、光合成型の二酸化炭素固定に今後展開できるものである。
|