Research Abstract |
有性生殖において,父方,母方由来の遺伝子を混合するDNA相同組換え(相同組換え)は,卵や精子などの配偶子を形成する際に必ず行われ,生命に遺伝的多様性を付与する重要な生命現象である.この反応は時に互いに似た配列を持つ領域でDNAを組換え,DNAに含まれる情報を混合し,新しい遺伝子,新しいタンパク質を創製する.現代まで動植物の新しい品種などを生み出してきた交配や育種技術は,まさにこの現象を利用したものだといえる.本研究課題の目的は,試験管内でこの相同組換えを制御して利用することにより,人工的に新規遺伝子,新規タンパク質を創出する基盤技術を構築することである.本年度は,それに必要と考えられるタンパク質群(RecA, RecF, RecJ, RecO, RecQ, RecR, RecX, RuvA, RuvB, RuvC, SSB, DNAポリメラーゼ,DNAリガーゼ)の内,市販されていないもの全ての大量調製を試みた.使用するタンパク質としては,常温下の試験管内で相同組換えを進行させること,将来的には産業的にも応用することを考慮し,常温で安定であり,精製が容易で大量調製しやすい高度好熱菌Thermus thermophilus由来のものとした.好熱菌タンパク質を大腸菌内で大量発現させた後,熱処理を行い,大半の大腸菌由来のタンパク質を除いた.そして,さらに数本のカラムクロマトグラフィーを行うことにより,RecA, RecF, RecJ, RecO, RecR, RecX, SSBの大量調製を終えた.
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