2011 Fiscal Year Annual Research Report
単一磁束量子素子用超高速光入出力インターフェイス開発
Project/Area Number |
21200059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川山 巌 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 助教 (10332264)
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Keywords | 高速光デバイス / 光インターフェイス / 超伝導 / フェムト秒パルスレーザー |
Research Abstract |
本年度の成果として、1)高温超伝導体のナノブリッジの作製および特性評価、2)ジョセフソン接合の光応答計測、3)ナノブリッジの光応答計測、4)高温超伝導体の超短パルス応答メカニズム、の4つの課題に分けて記述する。 ナノブリッジの作製プロセス開発に関しては、基板をからMgOから格子不整合の小さいLSATに変更することにより、ナノブリッジ作製における歩留まりおよび再現性が飛躍的に向上した。また、I-V特性に関しても、従来のフラックスフロー型からIc近傍で急峻に電圧状態に遷移するRSJタイプのI-V特性を示すナノブリッジの作製が可能となった。また、作製したナノブリッジでSQUID構造を作製したところ、印可磁場に対して臨界電流の明瞭な振動が観測され、ジョセフソン弱結合的な特性を持っていることが確認された。 ジョセフソン接合およびナノブリッジの光応答を計測するため、ダブルパルス計測システムを構築した。その結果、ジョセフソン接合の光応答時間は照射するレーザーパワーに依存し0.5~4ps程度であることが明らかになった。また、ナノブリッジ光応答違度は、ジョセフソン接合においてみられたような高速なパルス応答は観測されなかった。ナノブリッジと比較するために線幅5μmのマイクロブリッジで同様の実験を行った結果高速応答が観測され、パルスの半値幅は2.5~6ps程度でマイクロブリッジにおいてもかなり高速なスイッチングが期待できることが明らかとなった。 このように、マイクロブリッジでは数ピコ秒以下の高速応答が確認されたが、ナノブリッジでは高速な応答は見られない。この原因としては、レーザー照射によりホットスポットと呼ばれる常伝導コアが形成され大きな発熱を伴うため、数百ナノ秒以上の非常に遅い応答になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高温超伝導体を用いたジョセフソン接合、マイクロブリッジおよびナノブリッジのフェムト秒パルスに対する応答を、ダブルパルス法という新規な手法を用いて計測することに成功した。ナノブリッジにおいては、当初の予測と異なり高速な応答が見られていないが、このことにより超伝導デバイスの微細化・集積化において電流集中による常伝導化を回避することが非常に重要であることが明らかになったともいえる。
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