2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体機能に学ぶナノ材料応用と生体機能模倣デバイスの創出
Project/Area Number |
21200060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神吉 輝夫 Osaka University, 産業科学研究所, 助教 (40448014)
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Keywords | 新機能材料 / 酸化物エレクトロニクス / 生体機能工学 |
Research Abstract |
本研究は、生体機能発現に重要な役割を果たしているノイズによって信号を伝播させる"確率共振の原理"とエレクトロニクス材料である遷移金属酸化物の"非線形電気応答特性"を利用して、心筋細胞や粘菌集合体が発するような創発同期信号を出す生体模倣型エレクトロニクス機能を実現し、光、音、温度等の外界センシングにより信号変化を引き起す世界で初めての創発生体機能を有した無機固体素子の創出を目的としている。 本年度は、まず主に酸化バナジウムVO2の非線形電気応答を利用した確率共振素子の特性評価を行った。研究代表者においては、1.VO2薄膜に外部から電気信号とノイズを加えることが出来る装置を作製し、確率共振特性を発現させることに成功した。2.モノリシックデバイス化に向けた解析、構造最適化の検討を行った。3.低電圧コンパレータ動作を実現するため微細加工を行い、4V程度の閾値を持つVO2薄膜を作製に成功した。連携研究者においては、確率共振回路、シミュレーション等で材料開発に必要なパラメータを適抽出し、材料開発をする上での有益な知見を得た。ノイズによる情報伝達を可能にする確率共振素子の工学的基本構成は、閾値判別するコンパレータ、ノイズを発生するノイズ源からなる。これら二つの要素を同時に持ち合わせ、高い効率で動作する材料の開発がモノリシック生体機能素子を創製する上で望ましく、強相関電子系材料であるVO2は、優れた材料であることがわかった。 これらの研究成果は、低電圧駆動で創発的同期発振するデバイスに向けた重要な足がかりとなり、現在論文誌に投稿中である。
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Research Products
(7 results)