2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体機能に学ぶナノ材料応用と生体機能模倣デバイスの創出
Project/Area Number |
21200060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神吉 輝夫 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (40448014)
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Keywords | 新機能電子材料 / 酸化物エレクトロニクス / 生体機能工学 |
Research Abstract |
本研究は、生体機能発現に重要な役割を果たしているノイズによって信号を伝播させる"確率共鳴の原理"とエレクトロニクス材料である遷移金属酸化物の"非線形電気応答特性"を利用して、心筋細胞や粘菌集合体が発するような創発同期信号を出す生体模倣型エレクトロニクス機能を実現し、光、音、温度等の外界センシングにより信号変化を引き起す世界で初めての創発生体機能を有した無機固体素子の創出を目的としている。 前年度に見いだされたVO_2薄膜の確率共鳴特性の解析により、VO_2は、マルチネットワーク型の確率共鳴特性を示すことがわかり、Collinsモデル(Nature376(1995)961)に従った信号情報伝達性能の向上が見られた。この結果を踏まえ、今年度は、解析結果を直接的に確かめるため、複数の金属相バスが形成される過程を高速カメラを用いた光学顕微鏡により観測した。その結果、絶縁体-金属転移を起こす閾値電圧を持つパルス波を印加することによって、複数の金属パスが現れることを確認し、前年度の解析結果を支持する結果を得た。また、VO_2,薄膜の微細加工技術においては、ナノインプリント法とレーザーMBE法を組み合わせたナノ微細加工プロセスを確立し、現在1マイクロメートル以下のVO_2ナノ構造体を作製できるところまで進歩している。 今後は、さらにスケールダウンできるプロセスを確立し、ナノ微細化されたVO_2薄膜のナノスケール空間に存在する不均質な電荷集団ドメインの温度・時間による電気的な揺らぎ測定を通じて、材料に内包するノイズ源の活用を目指す。
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Research Products
(14 results)