2011 Fiscal Year Annual Research Report
泥炭湿地における大規模植林が水・熱循環および周辺環境に与える影響評価手法の構築
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21200061
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
甲山 治 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (70402089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 祥子 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋研究科, 助教 (10537103)
梅村 研二 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (70378909)
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Keywords | 泥炭湿地 / 水循環 / 炭素循環 / CO2フラックス / 水管理 / アカシアプランテーション / 生態系 / 衛星解析 |
Research Abstract |
本研究では対象地域の水・熱循環を把握することで、大規模な土地改造や灌概漑施設を設置することなく、起伏や等高線に沿った集水、堰、簡易ポンプやため池など,小規模施設による水管理と優先種の適用を主体にした,人工林マネジメントにおける適地適作に関わる基礎データの収集を目指した。泥炭湿地の土地開発では、土壌中の水ならびに有機物管理が最も重要である。さらには生物多様性の確保もまた重要な視点となる。このためには水・熱循環だけでなく、広大な地域における資源管理および環境管理のための統合的なモニタリングシステムや技術開発が必要である。そこで本研究では、西カリマンタンの荒廃した泥炭湿地の森林再生事業に先立ち、環境と資源生産が調和する持続的な開発に向けて、気象、森林バイオマス資源の賦存量、鳥類生態系、土壌(泥炭層)、水位・水質など水・熱およびCO2循環と生態系の現状を調査・観測した。観測の結果、2010-2011年は多雨年であったために地下水位が高く、泥炭土壌からのCO2が少なかった。 現在取得したデータを分析したのち、それらを元に陸面過程モデルを構築し、水管理とCO2収支の関係性の検証を行っている。2012年現在、研究対象地域において植林事業が始っている。本研究で開発したモデルの結果を元に、自然環境へのインパクトが水管理を行っている。このような水循環および泥炭の保全に配慮した林業施業が、配慮しない場合よりも持続的であることを本研究では示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、陸面過程モデルを構築し、水管理とCO2収支の関係性の検証を行った。水循環および泥炭の保全に配慮した林業施業が、配慮しない場合よりも持続的であることを本研究では示した。しかし大気循環と地表面状態の相互作用の解析は、未だに不十分である.構築した陸面過程モデルを用いて、大気循環も含めた水循環の持続性に関して解析することが今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策に関しては、構築した陸面過程モデルを様々な解析に活用していきたい。本研究において水管理と泥炭地の保全状況の関係性は示したが、森林バイオマス生産や、大気循環への影響の解析は不十分である。したがって現在構築した観測システムを活用して、泥炭地の持続性にかんして解析をさらに進めていきたい.
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Research Products
(6 results)