2009 Fiscal Year Annual Research Report
原形質流動を支える小胞体運動の評価法の開発とその分子機構の解明
Project/Area Number |
21200065
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 晴子 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 研究員(産官学連携) (90402776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 悦雄 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助教 (80212299)
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Keywords | 原形質流動 / 小胞体 / ミオシン / アクチン / オルガネラ |
Research Abstract |
原形質流動は,古くから知られる植物特異的な細胞内運動である.その実体は,ミオシンがオルガネラを持ってアクチン繊維上を滑る運動と考えられているが,流動を支えるメカニズムは未解明な部分が多い.われわれは蛍光タンパク質で可視化した小胞体の絶え間ない流動に着目し,「小胞体が原形質流動の原動力である」というモデルを考案した.本年度は,バイオイメージングと流体力学を組み合わせて流動を評価する方法を開発し,遺伝学的・生化学的手法と併せ,小胞体の流動機構に関する下記の新規知見を得た. <1. 流動評価法の確立と小胞体流動特性の解析> optical flow analysisを応用し,常に形状を変化させる小胞体の流動を計測するソフトを開発した.実際に小胞体の流動を計測して撮影条件や結果の妥当性を検討することにより,小胞体流動の計測方法を確立した.さらに,本ソフトを細胞質型GFPの流動計測にも適用できることを確認した. シロイヌナズナを用いて小胞体流動を計測した結果,小胞体は主に長軸方向に沿って高速で流動していた.さらに,この流動パターンは細胞質型GFPの流動パターンと酷似しており,流速もほぼ一致した.以上の結果から,細胞質ゾル流動への小胞体の寄与が示唆された. <2. 小胞体運動の分子機構の解析> シロイヌナズナのミオシンXI変異体の小胞体を可視化し,上記ソフトを用いて流動を計測して野生型と比較した.その結果,ミオシンXI-Kの欠損変異体で小胞体流動が著しく抑制されていた.この流動抑制は,恒常的に発現の高いミオシンXI-K, MYA1, MYA2の三重変異体でさらに顕著であるが,MYA1とMYA2の二重変異体ではほとんど影響を受けないことが明らかとなった.ミオシンXI-Kは小胞体画分から検出されたことから,小胞体流動を担う主要なミオシンはXI-Kであることが明らかとなった.
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