Research Abstract |
シグナル物質として機能すると考えられている活性酸素種(ROS:Reactive Oxygen Species)の生成を担うのは,NADPH oxidaseのRboh(respiratory burst oxidase homolog)である.このRbohに着目し,ROSの生成制御機構および,その生理学的意義の解明を目的に研究をおこない,下記の点について明らかにした. 【AtRbohA-J遺伝子の発現解析】 シロイヌナズナにある10個のAtRboh遺伝子について,RT-PCRやpromoter::GUSによる発現解析をおこなった.興味深いことに、8遺伝子が根で発現していることを明らかにした.このことは,AtRbohにより積極的に生成されたROSは,根において多彩な役割を担っていることを示唆するものである. 【AtRboh活性制御因子の同定】 AtRbohFの相互作用候補因子として得たsoybean gene fegulated by cold-2(SRC2)とCBL-interacting protein kinases(CIPK)について,共免疫沈降実験をおこない,植物細胞内においても相互作用していることを明らかにした.並行して,HEK293T細胞を用いた異種共発現解析をおこない,SRC2は活性促進因子,CIPKは活性抑制因子として機能していることを明らかにした. 【イネOsRbohBの活性化制御】 イネの感染防御応答に関与すると考えられているOsRbohBについて,HEK239T細胞を用いた異種発現解析をおこなった.OsRbohBも,AtRbohと同様に蛋白質リン酸化およびCa^<2+>により活性化されることを明らかにした.さらに,OsRbohBのN末端欠失変異体シリーズの解析をおこない,EF-handよりN末端側の領域もCa^<2+>による活性化に必須であることも明らかにした(Takahahi et al.,The Journal of Biochemistry,in press,2012).
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