2011 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド蛋白質の異常コンフォメーション伝播性の証明と早期診断法への応用
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21200072
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
ポピエル ヘレナ・明子 独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・疾病研究第四部, 科研費研究員 (40467593)
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Keywords | 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / バイオマーカー / コンフォメーション伝播 / アミロイド |
Research Abstract |
近年、アルツハイマー病、プリオン病、ポリグルタミン(PolyQ)病など多くの神経変性疾患において、異常蛋白質の構造異常・凝集が神経変性を引き起こすという共通の発症分子メカニズムが存在すると考えられるようになった。プリオン病では、異常構造プリオン蛋白質から正常構造蛋白質への異常コンフォメーションの伝播が発症に重要であると考えられているが、他の神経変性疾患で同様のメカニズムが存在するかは不明である。本研究では、1)異常構造PolyQ蛋白質から正常構造PplyQ蛋白質への異常コンフォメーションの伝播性を解明し、2)この異常コンフォメーションの伝播性を応用した試験管内シード増幅法を確立し、患者の脳脊髄液中に漏出する微量な凝集体の高感度な検出による疾患バイオマーカーの確立を目指す。 今年度は、試験管内シード増幅法の確立に向けて、昨年度検討したチオフラビンT(ThT)アッセイで問題となった感度を改善するため、合成PolyQペプチドを用いたFRET法の系を検討した。FITC-TRITCで蛍光ラベルをした正常鎖長のPolyQ25ペプチドにThio-Q62の凝集体シードを添加することにより、Q25の凝集体形成を高感度で検出することに成功した。さらに異常伸長鎖のQ81-GFP、および正常鎖長のQ35-GFPおよびQ19-GFPを発現する培養細胞の抽出液をQ25ペプチドに添加し、この系でQ81-GFPの凝集体を特異的に検出できるかを検討したところ、抽出液を部分的に精製することにより凝集体の特異的な検出が可能であることが明らかとなった。現在PolyQ病モデルマウスめ脳脊髄液に漏出する微量なPolyQ蛋白質の凝集体の検出を試みるため、発症前から発症後に至るまで経時的に脳脊髄液を採取している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、異常伸長PolyQ蛋白質の凝集体量を計測する系を、当初は濁度測定法を用いて確立する予定でいたが、濁度測定法では感度が低い問題が明らかとなった。その後ThTアッセイの検討も経て現在の高感度のFRETの系の確立に成功した。そのため濁度測定法で系を確立する当初の計画と比べ研究がやや遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに確立したFRETを応用した試験管内シード増幅法を用いて、PolyQ病モデルマウスの脳脊髄液に漏出する微量なPolyQ蛋白質の凝集体の検出を試みる。PolyQ病モデルマウスにおいて発症前から発症後に至るまで経時的に採取した脳脊髄液中の凝集体量を、試験管内シード増幅法を角いて評価し、病態の進行と検出される凝集体量が相関することを確認する。さらに現在までに研究代表者らが同定している、PolyQ病モデル動物に対して神経変性抑制効果を認めるPolyQ凝集阻害化合物をPolyQ病モデルマウスに投与し、治療による脳脊髄液中の凝集体量の変動を評価する。
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Research Products
(7 results)