2012 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド蛋白質の異常コンフォメーション伝播性の証明と早期診断法への応用
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21200072
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
ポピエル ヘレナ・明子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・疾病研究第四部, 科研費研究員 (40467593)
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Project Period (FY) |
2009-07-23 – 2013-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / バイオマーカー / コンフォメーション伝播 / アミロイド |
Research Abstract |
近年、アルツハイマー病、プリオン病、ポリグルタミン(PolyQ)病など多くの神経変性疾患において、異常蛋白質の構造異常・凝集が神経変性を引き起こすという共通の発症分子メカニズムが存在すると考えられるようになった。プリオン病では、異常構造プリオン蛋白質から正常構造蛋白質への異常コンフォメーションの伝播が発症に重要であると考えられているが、他の神経変性疾患で同様のメカニズムが存在するかは不明である。本研究では、1)異常構造PolyQ蛋白質から正常構造PolyQ蛋白質への異常コンフォメーションの伝播性を解明し、2)この異常コンフォメーションの伝播性を応用した試験管内シード増幅法を確立し、患者の脳脊髄液中に漏出する微量な凝集体の高感度な検出による疾患バイオマーカーの確立を目指す。 今年度は、まず試験管内増幅法の感度をあげるため、polyQ蛋白質がよりゆっくりとコンフォメーション変化を起こす条件を検討した。具体的には、今までNi-NTAレジンで精製し、さらにその後HPLCを数回かけて精製度の高い蛋白質を得ていたが、様々な条件を検討したところ、TALONビーズを用いて精製し、さらにHPLCで数回精製した後に超遠心をかけることで、よりゆっくりとコンフォメーションチェンジがおこり、より確実に検出できる系が確認できた。 さらに異常伸長polyQ蛋白質のコンフォメーションの伝搬を抑制する化合物が、他のコンフォメーション病の原因蛋白質のコンフォメーション伝播も抑えるかを調べるために、アルツハイマー病の原因蛋白質Aβ、およびパーキンソン病の原因遺伝子α-synucleinのコンフォメーション伝播を検出する系の立ち上げを目指した。AβはThTアッセイで簡便にコンフォメーションの伝播が確認できた。α-synucleinについては現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、異常伸長polyQ蛋白質のコンフォメーションの伝播をよりゆっくりと起こし、はっきりと検出できる系を確立するためにpolyQ蛋白質の精製法を見直し、その確立に精製した。さらに今年度目指した、polyQ蛋白質のコンフォメーションの伝播を抑制する化合物が様々な神経変性疾患に広く応用できることを示すことは大変価値が高いため、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Research Products
(3 results)