2012 Fiscal Year Annual Research Report
ルビーによる高生産な超並列・超分散計算ソフトウェア基盤
Project/Area Number |
21220001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平木 敬 東京大学, 大学院情報理工学(系)研究科, 教授 (20238348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定兼 邦彦 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (20323090)
牧野 淳一郎 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50229340)
井田 茂 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (60211736)
稲葉 真理 東京大学, 大学院情報理工学(系)研究科, 准教授 (60282711)
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Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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Keywords | 計算機システム / 高生産性言語 / ネットワーク / ハイパフォーマンス・コンピューティング / 超並列問題記述 |
Research Abstract |
本研究開発は、(1)Ruby言語HPC最適化に関する研究、(2)Rubyを用いた問題定式化に関する研究、(3)超分散・超並列計算環境による評価の3個のサブテーマに分かれて研究を実施した。 サブテーマ(1)では、Rubyコンパイラに新しい型解析手法を導入し、高速なコンパイラと実行コードを実現した。Rubyの高速化において最大の困難点であった動的な型を型解析する新しい手法を発見したため、コンパイラがサポートできるプログラムの範囲が大きく拡大した。新しく開発した型解析手法では、肩を投機的に推定し、解釈を繰り返し行うことにより、プログラム記述が動的であっても静的コードによる高速化が適用できる範囲を拡大した。 また、Rubyを用いる数値計算の方向性を更に推し進める、新しい言語的アプローチを開発し、その動作原理を確立した。これらの開発により、科学技術計算分野における実用言語としてのRubyを確立した。 (2)ではコンパイラおよび実行環境を用いた問題定式化および評価を行う基盤を確立し、数値計算ライブラリの整備をおこなった。さらに天文学、物理学におけるシミュレーションコードを開発し、その核部分のRubyによる定式化を実現した。 (3)では、評価環境と評価環境における高速Ruby処理系を整備し、アムステルダム大学との遠距離ネットワーク実験を実施するための準備を行った。実験内容は、アムステルダム大学拠点と米国間を100Gbps速度の長距離インターネットで結び、データ転送系およびTCPプロトコルの評価を行うものである。整備は順調に行われたが、米国・オランダ間のネットワークアクセスが実験時期に間に合わなかったため、実際の実験実施が不可能となり、ローカルな評価の実験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究開発は、(1)Ruby言語HPC最適化に関する研究、(2)Rubyを用いた問題定式化に関する研究、(3)超分散・超並列計算環境による評価の3個のサブテーマに分かれて研究を実施した。 (1)では、Rubyコンパイラに新しい型解析手法を導入し、高速なコンパイラと実行コードを実現した。Rubyの高速化において最大の困難点であった動的な型を型解析する新しい手法を発見したため、コンパイラがサポートできるプログラムの範囲が大きく拡大した。 また、Rubyを用いる数値計算の方向性を更に推し進める、新しい言語的アプローチを開発し、その動作原理を確立した。これらの開発により、科学技術計算分野における実用言語としてのRubyを確立したと言える。これらの研究結果により(1)は計画より大きく進展したと判断した。 (2)ではコンパイラおよび実行環境を用いた問題定式化および評価を行う基盤を確立し、数値計算ライブラリの整備をおこなった。さらに天文学、物理学におけるシミュレーションコードを開発し、その核部分のRubyによる定式化を実現した。項目(2)はこのように計画通りに進展した。 (3)では、評価環境と評価環境における高速Ruby処理系を整備し、アムステルダム大学との遠距離ネットワーク実験を実施するための準備を行った。実験内容は、アムステルダム大学拠点と米国間を100Gbps速度の長距離インターネットで結び、データ転送系およびTCPプロトコルの評価を行うものである。整備は順調に行われたが、米国・オランダ間のネットワークアクセスが実験時期に間に合わなかったため、実際の実験実施が不可能となり、ローカルな評価の実を実施した。これらの理由により(3)はおおむね順調に進展していると判断した。 以上3点の評価を総合し、プロジェクト全体ではb)おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究開発では今後、(1)Ruby言語HPC最適化に関する研究、(2)Rubyを用いた問題定式化に関する研究、(3)超分散・超並列計算環境による評価の3個のサブテーマに分かれて研究を実施する。 (1)では、AOT(Ahead of Time)コンパイラを用いた高速Ruby処理系、動的言語記述を最適化するコンパイルアルゴリズムを平成24年度までに開発コンパイラを基礎として、更に広範囲のRubyプログラムの高速化を可能とする最適化技法を開発する。また、これらのコンパイラおよび実行環境を用いた問題定式化および評価を行う基盤を確立する。(2)では、天文学、物理学におけるシミュレーションコードを開発し、その核部分のRubyによる定式化を実現する。 (2)においては、東京大学、東京工業大学およびが共同して、数値計算のためのRuby基盤を共同開発する。 (3)では、評価環境と評価環境における高速Ruby処理系を整備する。また、アムステルダム大学のC.de Laat教授、PaolaGrosso准教授等と連携して、アムステル大学内に実験拠点を確立し、国際分散クラウドコンピューティング実験を実施する。
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Research Products
(24 results)