2011 Fiscal Year Annual Research Report
MSM/Msマウスのユニークな表現型の遺伝学的解析
Project/Area Number |
21220010
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山村 研一 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (90115197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若菜 茂春 (独)理化学研究所, マウス表現型解析開発チーム, チームリーダー (90192434)
山縣 和也 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (70324770)
吉信 公美子 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 助教 (20274730)
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Keywords | 野生マウス / 膵炎 / 糖尿病 / 可変型相同組換え / ヒト化マウス |
Research Abstract |
MSMマウスは、light/dark transition testにおいて明箱進入潜時が長く、移動活動量が低く、情動性および不安が高いと推察された。open-field test (OF)においては移動距離が短く、中心滞在率が低く、注意深いが、いったん動き出すと俊敏性に優れていた。home-cage activity testにおいては総活動量には大きな差がないが、暗期の活動性が高く、夜行性の特徴がより強いことが分かった。MSMとB6のキメラマウスに関しても行動解析を行い、4つのグループに分類することができた。グループ1は、MSMとほぼ同じ行動。グループ2は、OFでの移動活動性のみがB6/Jに類似。グループ3は、明期と暗期の切り替わり時のピークを示さないが、夜行性の特徴は強くなくB6/J型。グループ4はB6/J様の行動表現型である。行動解析の終了したキメラ個体は全て脳組織を用いて1acZ染色を行い、まだ解析途上であるが、MSM用の行動を示すキメラマウスでは、視床、中脳、橋、延髄がほとんどMSM由来であったことから、この方法で領域を特定できることが示唆された。 セルレイン膵炎に対してB6,JF1,MSMは抵抗性、C3Hは感受性であると確定した。JF1においてはSpink3,Serpina1aが、MSMではPrss2が、C3HではPrss1,TNFaが、有意にセルレイン後の活性が高くなることを見いだし、感受性/抵抗性を決定している要因と考えられた。 B6 ES細胞を用いて、Hna1a,Hnf1bについては、KO、ヒト正常、ヒト変異マウスの作製完了,Pdx1,Neurod1については、KO完了、ヒト正常、ヒト変異マウスのキメラ完了、Gck1a,Hnf4aについては、KOキメラ完了、ヒト正常ES、ヒト変異ES完了した。Gck1b,Hnf4bについては、KOマウス作製完了し、表現型解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MSMとB6の行動パターンの違いを明確に示した。また、キメラの解析から、特有の行動に関与する脳の領域を特定することが可能となった。セルレイン膵炎に対する感受性/抵抗性の因子として、Prss1,Spink3,Serpina1a,prss2,Tnf1の5つを絞り込むことができた。Hnf1a,Hnf1b,Gck,Hnf4a,Pdx1,Neurod1について、ノックアウトマウス、ヒト正常遺伝子置換マウス、ヒト変異遺伝子置換マウスの作製が順調に進み、一部糖尿病に関する解析を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
キメラマウスの行動パターン解析から、MSMの行動パターンを示すものあるいはB6の行動パターンを示すものについて脳組織のX-gal染色を行う。共通して染色されている領域を同定し、MSM-B6間で発現の差の見られた遺伝子を同定する。さらに、当該遺伝子に関してノックアウト、ノックインなどの遺伝子改変マウスを作出して行動解析を行い、表現型との相関を検討することにより、活発な自発活動性にかかわる遺伝子の特定を目指す。Prss1,Spink3,Spirna1a,Prss2,Tnfaのトランスジェニックマウスを作製し、膵炎感受性・抵抗性の変化を解析する。6種類の遺伝子のノックアウトマウス、正常ヒト遺伝子置換マウス、ヒト変異遺伝子置換マウス-(Hnf1a:Pro129fsinsC,Gck:Met210Lys,Hnf1b:Arg177X,Hnf4a:Glu268X,Pdx1:Pro63fs delC,Neurod1:Arg111Leu)が、飼育により得られ次第、順次表現型解析を行う。
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