2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21220011
|
Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
安藤 譲二 獨協医科大学, 医学部, 特任教授 (20159528)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 希美子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00323618)
|
Keywords | 血管内皮細胞 / Shear stress / メカニカルストレス / メカノセンシング / カルシウム・シグナリング |
Research Abstract |
細胞や組織が力学的環境に由来するメカニカルストレスを感知して応答することは、その機能や生存にとって極めて重要な役割を果たしている。しかし、そうした力学応答の仕組みはまだ十分解明されていない。我々は血管細胞が血流に起因する流れ剪断応力(shear stress)を感知して細胞応答を起こす分子機構を解明する研究を行ってきたが、平成22年度は再生医療の細胞ソースとして期待されている胚性幹細胞(ES細胞)に及ぼすメカニカルストレスの作用について検討を加えた。マウスのES細胞から内皮細胞増殖因子(VEGF)の受容体を発現する血管前駆細胞を分離しshear stressとcyclic strainの定量的負荷を行った。その結果、血管前駆細胞がshear stressに反応して内皮細胞へ、一方、cyclic strainに反応すると平滑筋細胞へ分化することが示された。その作用機序としてshear stressは細胞膜に発現するVEGF受容体のリガンド非依存性の燐酸化を介して、また、cyclic strainは血小板由来増殖因子(PDGF)受容体のリガンド非依存性の燐酸化を介して細胞分化誘導効果を発揮することが分かった。さらに生理的な動脈レベルのshear stressはNotchシグナルを介して血管前駆細胞を動脈内皮細胞に、静脈レベルのshear stressは静脈内皮細胞へ分化させることが示された。これらの所見は胚における血管形成には遺伝子情報だけでなく環鏡要因の1つとしてメカニカルストレスが重要な役割を果たすことと、メカニカルストレスを細胞分化を誘導するツールとして再生医療に応用できる可能性を示唆している。
|
Research Products
(16 results)