2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21221008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩田 邦郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80196352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 慎太郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任教授 (10420225)
大鐘 潤 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (50313078)
中山 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40155891)
種村 健太郎 東京大学, 国立医薬品食品衛生研究所・毒性部, 主任研究官 (20332322)
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Keywords | DNAメチル化プロフィール / T-DMR / 発生分化 / 性依存性 / 常染色体 / 性染色体 |
Research Abstract |
平成21年度のゲノム全域のDNAメチル化解析(D-REAM法)の結果を基とし、同定したT-DMRの解析および新たに精子・精原細胞を含む複数の組織・細胞のD-REAM法による解析を進めた。 性ホルモン依存性T-DMRの同定と発生・分化のDNAメチル化ダイナミクス:21年度に同定したT-DMRのうち複数領域について、性腺切除・性ホルモン付加手術を施した成熟雌・雄マウスの主要な組織(肝臓・大脳等)でのメチル化状況を調べた。その結果雄性ホルモン依存的にメチル化が変化する領域を見いだした。この領域のメチル化状況は発生時期依存的に変化することも確認した。 性染色体の染色体全域のメチル化変化:未分化ES細胞と成体組織とを比較すると、常染色体、性染色体ともに、雌雄共通したT-DMRを同定することができ、ESで脱メチル化している遺伝子の周辺にはSINE、メチル化されている遺伝子周辺にはLINEが多いという特徴を示した。しかしX染色体に着目すると、雄では成体で高メチル化を示すのに対し、雌では成体で低メチル化と雌雄で異なる傾向を示した。興味あることにX染色体はLINEが多くSINEがほとんど無いという特徴を持つことから、X不活化とDNAメチル化プロフィールの形成との関連について新たな切り口を与えている。さらに雌雄で異なるメチル化変動を示す遺伝子には、複数の疾患関連遺伝子が含まれることが判明した。 少量サンプルの解析技術の確立:T-DMRの多領域・少量サンプルメチル化解析技術確立を目的とし、T-DMRを持つ遺伝子の多領域・少量サンプルでの発現解析法の検討を行い、系を確立した。 卵特有ピストン(Hlfoo)のDNAメチル化プロフィール形成への関与:Hlfooは、卵でのみ発現し、受精後速やかに消失する。またHlfoo遺伝子はT-DMRを有し、雄や雌組織で高度にメチル化される。雄のES細胞にHlfooを強制発現させたところ、一部の卵子形成に重要な遺伝子領域のメチル化が変化することを確認し、卵子のDNAメチル化プロフィール形成に関与することが示唆された。
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Research Products
(18 results)