2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21224010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白濱 圭也 Keio University, 理工学部, 教授 (70251486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 謙介 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (60334314)
柴山 義行 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (20327688)
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Keywords | 低温物性 / 物性実験 / 超流動 / 量子相転移 / 量子臨界現象 / ジョセフソン効果 / ナノ多孔体 / ポーラスアルミナ |
Research Abstract |
本研究は、ヘリウム(^4He)をナノ空間に閉じこめ実現される「ナノスケール・ヘリウム」における新奇量子現象を系統的に明らかにすると共に、その超流動性を自在に制御する方法を確立させ、様々な科学技術への応用研究を展開する。平成21年度は以下の成果を得た。(1)周期的ナノ多孔体に圧入した^4Heの超流動転移が3MPa以上の圧力で強く抑圧され、3.4MPa近くで0Kに近づく量子相転移を発見した。これにより量子臨界現象がナノスケール・ヘリウムの普遍的な性質であることが示された。(2)ナノスケール・ヘリウムにおける量子臨界現象の周波数応答を系統的に研究するため、ランダムナノ多孔媒質中^4Heに対する広帯域超音波測定装置を準備した。(3)ナノ多孔質ガラスに吸着して形成された固体^4He薄膜において、機械的振動への応答に量子臨界現象が存在することを発見した。この現象は、超流動が出現する臨界吸着量(膜厚)近傍で力学的応答の特性時間が発散することで出現すると解釈される。(4)ポーラスアルミナ・ナノポアアレイ中ヘリウムの超流動特性を調べるため、均質な構造を有する種々のポーラスアルミナを作成した。いくつかの試料を用いた捻れ振動子を作成し、超流動特性測定の予備実験を行い、測定条件の最適化を進めた。(5)有効細孔径が小さいナノ構造創成のため、アルミナ細孔内にカーボンナノチューブを埋め込んだ試料の開発可能性を検討し、22年度での実現を目指す。(5)カーボンナノチューブ中液体^4He研究の準備実験として、グラファイト表面上固体^4Heの結晶成長を捻れ振動子で調べ、広い圧力範囲で固体が2段階の層状成長をすることを観測した。(6)ナノ多孔質ガラス中液体^4Heの超流動特性への静電場効果を観測するための実験装置を準備した。
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