2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21224011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 肇 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60159019)
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Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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Keywords | 液体 / 時空階層性 / 水の熱力学異常 / ガラス転移 / 液体・液体転移 / 結晶化 |
Research Abstract |
液体の内包する時空階層性に焦点を当て研究を行い、平成24年度及びその平成25年度への繰越分を通して、以下のような成果を得た。1.14種類の水溶液系において液体・液体転移現象を見出し、そのスピノーダル線が水溶液の種類によらず「水の活性」により一意的に決まることを示した。このことは、これらの水溶液系の液体・液体転移が水のそれにより誘起されていることを示しており、純粋な水に液体・液体転移が存在することを示唆する。2.トリフェニルフォスファイトにおいて見られる転移現象について光散乱測定を行い、長年論争となっていた液体・液体転移説と微結晶説において、前者が有力である実験的証拠を得た。3.水の熱力学異常についての研究を行い、以前に我々が提唱した水の二状態モデルを支持する微視的な構造的証拠を明らかにすることに成功した。4.従来の常識に反し、水の常圧付近の結晶化は、I型の氷が直接形成されるのではなく、新たに発見された準安定な氷がまず核形成し、それがI型の氷に変換することを発見した。これにより、長年未解明であった氷の均一核形成線の圧力依存性が、この新たな氷の融解線の圧力依存性により決まっていることが明らかとなった。この新たな氷はその構造に五員環を内包し、水の局所秩序構造と構造的整合性を持つことが、核形成障壁を下げる要因であることも明らかとなった。この発見は、これまでの水の氷への結晶化の常識を覆すばかりでなく、長年未解明であった氷の均一核形成線の相図上の位置について、明確な説明を与えるものであり、高層大気での氷の形成など、自然現象の理解への貢献も期待される。5.長年未解明であった剛体球コロイドの結晶核形成頻度の実験と数値シミュレーションの間の10桁以上の不一致の原因が、重力による沈降の影響である可能性を初めて指摘した。これらの成果は、液体の基本的な性質の理解の深化に資するものと期待している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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