2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21224014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 早苗 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70127611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 彰英 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (60222262)
伊藤 公孝 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (50176327)
居田 克巳 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (00184599)
矢木 雅敏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究主幹 (70274537)
稲垣 滋 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (60300729)
永島 芳彦 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90390632)
佐々木 真 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (70575919)
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Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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Keywords | プラズマ / 乱流輸送 / ヒステリシス / 位相空間 / 大域的輸送 |
Research Abstract |
本研究では、高温磁化非平衡プラズマを対象とし、ミクロ揺動とメゾスケール揺動、更にはマクロスケールの長距離相関揺動が生成消滅する、多スケールな「乱流プラズマ構造」の時空間構造やヒステリシス等の物理過程に取り組み、熱平衡状態からかけ離れた乱流媒質に特有な、大域的・動的乱流輸送にかかわる法則の定式化を目指している。本年度は(1) 長距離相関揺動とミクロ揺動間のエネルギー移送の観測, (2) 長距離相関揺動の非線形過程の観測, により大域的輸送の基礎過程の物理基盤をより強固なものとしました。更に、乱流揺動の描像を革新する(3) 乱流揺動と局所勾配との間の新たなヒステリシスを発見し、ヒステリシスの本質的な原因となる, (4) 乱流輸送を制御する新しい熱力学的な力を発見しました。核融合炉の制御について現在のモデルが不十分である事を示し、今後の必要な研究の方向性を決定づける成果が上がっています。加えて、(5) 乱流揺動相関関数の観測法の開拓, (6) 乱流揺動を用いた新しいプラズマパラメーター診断法の高精度化, という揺動計測を大きく進歩させるための理論式を導きました。 これらの成果ではe-Scienceの導入により理論・シミュレーション・実験の連携による統合研究の高効率化が重要な役割を担いました。直線プラズマ実験で開発した、統計的処理により高精度でダイナミックな応答を観測する方法を実際の大型実験装置に適用する事でヒステリシスの発見に至りました。更に新たな熱力学的力の理解のため、従来の実空間乱流の理論を拡張し、位相空間乱流理論を提唱すると共にシミュレーション研究を世界に先駆けて開始しました。 成果のトカマク実験への適用も開始しました。西南物理研究所の研究者とともにワークショプを行いトカマクプラズマ(HL-2A)乱流データ解析の指導を行い、トーラス乱流実験の国際的先導を強化しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
乱流揺動と局所勾配との間のヒステリシスが発見されました。これは乱流輸送は勾配で決まるという通常の認識に対し、新しい本質的な原因の存在を指摘したもので、乱流輸送の描像が革新されました。これは当初予定した計画を上回る成果です。更に、このヒステリシスを理解するため、従来のプラズマ乱流理論の枠組み(実空間の勾配のみに着目)を拡張し、位相空間統計的乱流の新たな描像を提示し、その非平衡性を左右する新しい物理量を理論的に指摘しました。これらは本計画完了後に着手する事を計画していた課題であり、研究の進捗が加速しています。また、計画を前倒しして、世界の実験研究の指導が既に実現し成果をあげています。これらの理由から当初の計画以上に進展していると評価します。
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Strategy for Future Research Activity |
この研究プロジェクトの中心的な課題は、理論・シミュレーション・実験の研究を統合して、乱流プラズマの時空構造と動的輸送の物理を総合的に解明することにあります。今後は、特に、大域輸送現象と乱流揺動の動的応答の描像をまとめ、非線形過程の定量的実験検証の組織的なアセスメントを進める。また、国際的にトーラス乱流実験の先導を強化します。 プロジェクトの最終年として国際会議H-mode workshopを主催するとともに、ケンブリッジ大学出版から出版するModern Plasma Physics Series 第二巻の執筆やreview論文の執筆により体系的成果を世界的に発信します。
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Research Products
(46 results)