2010 Fiscal Year Annual Research Report
水を溶媒として活用する新しい有機化学ワールドの構築
Project/Area Number |
21225002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 修 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50195781)
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Keywords | 水溶媒 / 有機合成 / 水溶性分子 / 位置選択性 / 固定化触媒 |
Research Abstract |
1、水中での触媒的不斉合成の開発・・・スカンジウムトリフラートとキラルビピリジンからなる触媒存在下、α,β-不飽和ケトンに対するチオールの不斉Michael型付加反応が、高収率かつ高エナンチオ選択性で進行することを明らかにした。 2、水溶性分子を用いる水中での効率的反応の開発・・・ホルムアルデヒドを用いる水溶媒中での不斉ヒドロキシル化における反応機構の詳細な検討を行い、本反応がケイ素エノラート及びホルムアルデヒドを触媒が同時に活性化している機構を明らかにした。 3、水溶液中における特異的な炭素-炭素結合生成反応の開発・・・アリルボロネートを用いる水溶液中でのアリル化反応において、キラルなビピリジン配位子を用いることにより不斉合成へ展開し、高いエナンチオ選択性で目的物を合成する手法を確立した。 4、水の中で特異的に機能する触媒の開発・・・ヒドラゾノエステルに対するアレニルボロネートの反応において水溶液中での金属水酸化物の反応性を探索し、水酸化銅を触媒として用いたときにはプロパルギル体が、水酸化ビスマスを触媒として用いたときにはアレニル体がそれぞれ優先的に得られることを見いだした。 5、水中で機能する固定化触媒の開発及び反応場の研究…水系溶媒中で機能する高分子固定化触媒の開発を行った結果、アルコールの酸化反応がバイメタル金属触媒によって円滑に進行し、アルデヒドあるいはエステルを選択的に得ることができた。 6、水を溶媒とするフロー系反応の開発・・・フローリアクターを用いて高分子固定化金属触媒による水中での水素化反応の検討を行ったところ、反応は良好な収率で進行することが明らかになった。
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Research Products
(19 results)