2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21225004
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
侯 召民 独立行政法人理化学研究所, 侯有機金属化学研究室, 主任研究員 (10261158)
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Keywords | 希土類アルキル錯体 / シクロヘキサジエン / エチレン / 共重合 / カプロラクトン / スカンジウム / ヒドリド錯体 / シンジオタクチックポリスチレン |
Research Abstract |
本研究では、優れた物性や新機能を持つ高分子材料の合成や高効率な物質変換反応を目指して、希土類錯体の特異な性質を利用した高活性、高選択的な錯体触媒の開発を行っている。本年度は、まず様々な配位子を持つハーフサンドイッチ型スカンジウムジアルキル錯体を用いて、種々の重合及び共重合について検討した。その結果、(C_5Me_4SiMe_3)Sc(CH_2SiMe_3)_2(thf)と[Ph_3C][B(C_6F_5)_4]を組み合わせた触媒系がシクロヘキサジエンの重合反応に高い触媒活性を示すことを見いだし、高cis-1,4選択的なシクロヘキサジエンの重合に初めて成功した。またこの触媒系はシクロヘキサジエンとエチレンのランダム共重合反応にも高い触媒活性を示し、得られた共重合体中のシクロヘキサジエンユニットは、cis-1,4に制御されており、含有率は10-65mol%と幅広い範囲でモノマー組成比を制御できることが明らかとなった。さらに、(C_5Me_4C_6H_4OMe-2)Sc(CH_2SiMe_3)_2(thf)と[Ph_3C][B(C_6F_5)_4]を組み合わせた触媒系がスチレンとカプロラクトンの共重合反応に高い触媒活性を示すことを見いだした。得られた共重合体にはシンジオタクチックポリスチレン鎖が含まれており、これはスチレンがシンジオタクチック選択的にカプロラクトンとブロック共重合をした初めての例である。 一方、ピンサー型PNP配位子を有する希土類ジアルキル錯体に水素を反応させることにより、対応する三核希土類ヒドリド錯体[(Me-PNP^<iPr>)LnH_2]_3(Me-PNP^<iPr>={4-Me-2-(^iPr_2P)-C_6H_3}_2N);Ln=Y,Lu)やカチオン性二核ポリヒドリド錯体[(Me-PNP^<iPr>)_2Ln_2H_3(thf)_2][BPh_4]の合成に初めて成功した。
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