2011 Fiscal Year Annual Research Report
繰り返しと光周波数を同時安定化したGHz帯モード同期パルスレーザの実現とその応用
Project/Area Number |
21226002
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中沢 正隆 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80333889)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 真人 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10333890)
|
Keywords | モード同期レーザ / ファイバレーザ / 超短パルス / 光マイクロ波発振器 / 光周波数制御 / Cs原子時計 / 光周波数コム / 光標準・計測 |
Research Abstract |
本年度はまず、Cs光原子時計の光周波数安定化回路の改良に取り組んだ。具体的には、本回路においてC_2H_2分子吸収線からの光周波数の誤差信号を共振器長へ負帰還すると同時に、その誤差信号の一部(低速成分)をレーザ筐体温度にも負帰還するよう制御回路を改良した。本改良により温度ドリフトによる光周波数の変動量を大幅に低減し、積分時間100秒における光周波数安定度を2.2x10^<-11>から7.2x10^<-12>に改善することに成功した。この周波数安定度は測定の参照用光源として用いたC_2H_2周波数安定化CWレーザと同等の値であることより、本パルスレーザの光周波数をCWレーザと同様に高い精度で制御できていることがわかる。 また、C_2H_2周波数安定化CWファイバレーザを用いた高安定光パルス光源に関しては、本光源を用いたコヒーレントパルス伝送の特性改善に取り組んだ。具体的には、伝送したRZデータを受信部でCWデータに変換し、光S/Nを改善するRZ-CW変換技術を新たに考案した。400Gbit/s,Rz-32QAMデータ信号にRZ-CW変換を適用することでデータ信号の光S/Nが5dB向上し、その結果、符号誤り率が1x10^<-4>におけるパワーペナルティを5.5dB改善することに成功した。また、本技術を用いることでコヒーレントパルス伝送可能なデータ速度を400から800Gbit/sに拡大することに成功した。今後の課題として、光周波数を同時安定化したCs光原子時計を送信用光源としたコヒーレントパルス伝送の復調特性を評価し、CWレーザをベースとしたパルス光源で得られた特性と比較することで、本応用における両光源の利害得失を明確にする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題前半(H21~H23)の研究目的であった2種類の周波数同時安定化パルス光源の開発を計画どおり推進し、これまでにパルス幅の狭窄化、光周波数安定度の向上、強度雑音の低減などのレーザの大幅な改良を行ってきた。さらに後半(H24~H25)の研究課題である超高速コヒーレント光伝送への応用研究に対しては、計画を先倒しして取り組み、400および800Gbit/sの超高速データ信号の225km伝送に成功している。以上のように当初の計画以上に研究が進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
H23年度までに実現した2種類の繰り返し周波数および光周波数を同時に安定化したパルス光源(モード同期レーザ型とアセチレン周波数安定化CWレーザ型)について、本年度はそれらの装置化を図る。そして、AISTおよびNICTの協力のもと、水素メーザを参照信号として用いて周波数安定度を高い精度で評価し、作製したレーザ装置の総合評価を行なう。 また、本パルス光源の応用研究として、パルス光源のさらなる短パルス化を図り、伝送速度がTbit/s級の超高速コヒーレントパルス伝送を実現する。さらに、AISTおよびNICTと研究交流を行ないながら、本パルス光源の計測標準、マイクロ波領域への応用を展開する。
|
Research Products
(13 results)