2012 Fiscal Year Annual Research Report
繰り返しと光周波数を同時安定化したGHz帯モード同期パルスレーザの実現とその応用
Project/Area Number |
21226002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中沢 正隆 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80333889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 真人 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10333890)
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Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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Keywords | 応用光学・量子光工学 / 光源技術 / 高性能レーザ / 計測工学 / 先端的通信 |
Research Abstract |
本年度は、H23年度までに実現した2種類の繰り返し周波数および光周波数を同時に安定化したパルス光源(モード同期レーザ型とアセチレン周波数安定化CWレーザ型)の装置化を図った。モード同期レーザ型パルス光源については、横河電機の協力のもとレーザ部、光周波数安定化部、繰り返し周波数安定化部をそれぞれ筐体に収納し、3つの筐体から成るパルス光源を完成した。アセチレン周波数安定化CWレーザ型パルス光源については、アドバンテスト研究所の協力を得てCWレーザ部を1つの筐体に収納し、それと光コム発生装置との2筐体から成るパルス光源を完成した。これらによりAISTやNICTへ開発した装置を搬入することが可能な可搬型装置を実現した。今後の課題として、AISTあるいはNICTの施設を利用して開発したパルス光源の周波数安定度の最終評価ならびにその計測標準への応用展開を図る。 また、H23年度に引き続き、開発したパルス光源のコヒーレント光通信への応用展開を図った。パルス幅を3 ps以下に狭窄化し、シンボル速度が160 Gsymbol/sの時分割多重伝送を実現した。このとき、各種デバイスの周波数依存性に伴う波形歪みを周波数領域等化法を用いて高い精度で補正することで信号多値度を32値から64値に拡大することに成功した。さらに偏波多重伝送技術を併用し、伝送速度を160 Gsymbol/s x 6 bit/symbol x 2 = 1.92 Tbit/sまで高速化することに成功した。今後の課題として、パルス幅の更なる狭窄化を図り、時分割多重伝送の多重度を倍増することで、3 Tbit/s以上の超高速多値コヒーレント光伝送を実現する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H24年度までの研究目的であった2種類の周波数同時安定化パルス光源の開発を計画どおりに推進し、光周波数安定度の向上、パルス幅の狭窄化、およびその装置化を図ってきた。さらにパルス光源の超高速コヒーレント光伝送への応用研究に対しては、計画を先倒しして取り組み、H24年度までにその伝送速度を1 Tbit/s以上に高速化することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度に完成させた筐体内へ収納した安定化モード同期パルスレーザ装置の計測標準ならびにマイクロ波領域への応用を展開する。本レーザの光スペクトルは縦モード全体が絶対周波数基準を有していることから、これを“光のものさし”として利用した新たな光周波数計測技術を提案・実証する。また、縦モード間のビート信号を利用したマイクロ波~ミリ波発生も可能である。光パルス出力を実際に光ファイバ伝送路を介して長距離伝搬させることにより、AIST, NICTと共同で時間・周波数標準信号の遠隔供給の可能性について検討する。 また、H24年度に引き続き直交振幅変調(QAM: Quadrature Amplitude Modulation)方式と光時分割多重方式(OTDM: Optical Time Division Multiplexing)を用いたOTDM-QAMコヒーレント光通信への応用展開を図る。パルスレーザから出力される光パルス信号の時間幅を1 psまで狭窄化し、OTDM-QAM信号のシンボルレートを320 Gsymbol/sまで拡大することで3 Tbit/s/ch以上の超高速コヒーレント光伝送を実現する。さらに波長分割多重伝送方式(WDM: Wavelength Division Multiplexing)を併用し、さらなる大容量化を図る。このとき伝送容量と伝送距離の積が最大となるよう伝送条件(OTDMの多重度ならびにWDMのチャネル数)の最適化を図る。
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Research Products
(9 results)