2012 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ複合材料の設計・合成・評価ループ構築と高機能化に関する研究
Project/Area Number |
21226004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋田 俊之 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40180814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田路 和幸 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (10175474)
高木 敏行 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (20197065)
大森 守 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 技術補佐員 (30005954)
山本 剛 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30436159)
胡 寧 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60250685)
小野 崇人 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90282095)
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Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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Keywords | 機械材料・材料力学 / カーボンナノチューブ / 複合材料 / 焼結 / 機械・電気的特性 / 強度・靱性 / トライボ特性 / 電波吸収特性 |
Research Abstract |
平成24年度においては,MWCNT/アルミナ複合材料の設計・合成・評価法の開発,複合材料の機械的・電気的・電磁気的性能評価に関する検討を行い,以下の知見を得た. 研究(1)無加圧焼結法による複合体作製法に関する検討:アルミナ粉末を出発原料として用い,無加圧焼結により緻密なMWCNT/アルミナ複合材料を作製することに成功した.MWCNTの体積含有率が2%までの範囲では,複合材料の相対密度は98%以上であり,曲げ強度も破壊靱性値も加圧法である放電プラズマ焼結法で作製したものとほぼ同等な特性を示した. 研究(2)き裂架橋効果の向上に関する検討:MWCNTのアニーリング処理温度とMWCNT単味の引張強度についての検討を継続し, MWCNTのナノ構造および破壊機構の処理温度依存性を明らかにした.さらに,アニーリング処理はMWCNTのマトリックス中での分散性にも影響を及ぼすことを示した. 研究(3)ナノスケール領域の特性評価に関する検討:CNT単味のSEM内一軸引張試験による強度評価法に関する検討を行い,アニール処理を含めた改質したMWCNTの引張強度を評価し,熱処理等によるMWCNTの破壊特性制御が可能であることがわかった.さらに,分子動力学に基づく数値シミュレーションにより推定した結果と組み合わせた検討を行うことにより,MWCNTの端部における結合がMWCNT強度に大きな影響を及ぼすことを初めて見出している. 研究(4)試作したMWCNT/アルミナ複合材料の特性評価手法の開発と性能向上:摺動距離が比較的小さいときにはMWCNT添加により摩擦係数を低下できること,また,2%程度の体積含有率で良好な電磁波吸収性能を発揮できることを見出すとともに,アニール処理の影響を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に初めて成功した無加圧焼結によるMWCNT/アルミナ複合材料の作製に関して,平成24年度には,さらにMWCNTの体積含有率や焼結助剤に関する検討を行い,実用性を有する無加圧焼結法の確立に向けた研究が着実に推進されている.これを核として,応用展開に関する研究を含めて研究全体として概ね順調に進展しているものと判断している.特に,摩擦・摩耗特性については,評価システムの開発が完了し,今後,体系的な特性評価の実施が可能となっていること,また,電磁波吸収性能の評価においてはMWCNTの種類,体積含有率等の影響についての調査が終了しており,予定していた項目のデータ分析が進展している状況にある.
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Strategy for Future Research Activity |
MWCNT/アルミナ複合材料の作製法に関する研究において,これまで検討してきた各種混合法ならびに焼結法における最適化を,今後は機序解明に基づき実施することを予定している.これにより,さらなる機械的・電気的特性向上を図るための指針が得られるものと考えている.さらに,MWCNT自体のナノ構造・特性とマトリックスとの界面構造・特性については,十分な検討をすべき課題であると考えており,ナノ領域における特性評価法の開発を含めて重点的に研究を推進する予定である.現在,ナノ評価を行うための走査型電子顕微鏡に基づくシステムを完成させることができており,今後,研究が加速するものと期待される. 本研究を推進する上で特段の問題点はない.
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Research Products
(8 results)