2011 Fiscal Year Annual Research Report
グラフォアセンブリーによる三次元積層型光電子集積システム・オン・チップ
Project/Area Number |
21226009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小柳 光正 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (60205531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 徹 東北大学, 大学院・医工学研究科, 教授 (40417382)
三浦 英生 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90361112)
羽根 一博 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50164893)
福島 誉史 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (10374969)
裴 艶麗 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (70451622)
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Keywords | セルフアセンブリー / 三次元集積化 / 光電子集積化 / スーパーチップ / シリコン貫通配線 |
Research Abstract |
高性能で、低電力、高機能の光電子集積システム・オン・チップの実現を目指して、前年度に引き続きグラフォアセンブリー技術、シリコン貫通配線、シリコン貫通光インターコネクション、シリコンフォトニクス・デバイスなどの要素技術について研究するとともに、それらの技術を評価するためのテストチップの設計、試作に取り組んだ。グラフォアセンブリー技術に関しては、チップ表面に上下のチップを噛み合わせるための凹凸パターンを形成する方法と、表面に親水性と疎水性のパターンを形成し、パターンの形状や種類とアセンブリー精度の関係について評価した。特に、親水性と疎水性のパターンを形成する方法では、親水性領域と疎水性領域の水の接触角の差を大きくとることによって、グラフォアセンブリーの精度が大幅に改善されることが明らかになり、実際に、5μm×5μmの微細な金属バンプからなるディジーチェーン(2500段)を搭載したチップをグラフォアセンブリー技術により接合し、200mΩ/段以下の低いバンプ接合抵抗を得ることに成功した。シリコン貫通光インターコネクションに関しては、断面寸法7.5μm×7.5μm、ピッチ15μmの微細光TSV(TSPV)を試作し、光信号が良好に導波されることを確認した。TSPVを伝搬してきた垂直方向の光信号をチップ表面に形成した水平方向のSi光導波路へと結合するための光グレーティングカップラに関しては、ミラー構造を有する新しいグレーティングカップラを提案し、FDTD法を用いた光シミュレーションにより詳細な検討を行った結果、80%以上という極めて高い結合効率が得られることが明らかになった。解析結果から、グレーティング上部に形成したミラーはグレーティングと光信号の結合を強めるだけでなく、グレーティング・パラメータの許容変動幅を大きくとれるため、ミラーなしの光グレーティングに比べて作製が容易であることもわかった。以上の要素技術の検討と合わせて基本回路を搭載したテストチップを設計試作し、これらを三次元積層する技術の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、これまで使用していたクリーンルームが東日本大震災により大きなダメージを受けたため、サンプル試作が必要となる研究が当初は計画よりもかなり遅れることとなった。特に、チップに微細パターンを形成したり、微細加工したりする実験は、震災後しばらくできなかったため、進捗がかなり遅れた。しかし、微細シリコン貫通配線(TSV)やシリコン貫通光インターコネクション(TSPV)形成技術、三次元積層化技術に関しては前年度まで計画よりも前倒しで進んでいたことと、年度後半から別の部署の装置を借用することで、サンプル試作も一部可能となったことから、かなり遅れを取り戻すことができた。したがって、検討項目ごとにばらつきはあるものの、全体的にはおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後とも、研究を計画通りに進めて行くためには、クリーンルームの完全復旧が必須となる。しかし、大学の支援を受けて現在も必死に復旧に取り組んでいるが、完全復旧までにはまだ3~6ヶ月かかると考えられる。その間も、別の部署の施設、設備を借用して、できるだけ当初の計画通りに研究を進めて行くことを考えていますが、一部の研究は装置の復旧が間に合わないために、内容を変更せざるを得ない。具体的には、シリコンチップ上へのGeの選択エビ成長に用いるUHV-CVD装置が震災で大きなダメージを受け、修復の目途が立っていないことから、シリコンチップ上にGe pinフォトダイオードが作製できない状態となっている。そのため、微小Geチップのシリコン基板上への張り合わせによるGe pinフォトダイオードの作製など、研究内容の一部を変更して、当初の目標を達成することを考えている。
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