2012 Fiscal Year Annual Research Report
ペタフロップス級計算機に向けた次世代CFDの研究開発
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21226018
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
中橋 和博 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発本部, 本部長 (00207854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 広明 東北大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40205480)
大林 茂 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (80183028)
山本 一臣 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 航空プログラムグループ, 主幹研究員 (80358465)
山本 悟 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (90192799)
佐々木 大輔 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (60507903)
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Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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Keywords | 数値流体力学 / 航空工学 / シミュレーション工学 / 計算機システム / 流体騒音 |
Research Abstract |
本研究で提案したBuilding-Cube Method (BCM) は、流体ソルバーの改良と応用研究を進めた。BCMソルバーによる高レイルノズ数域での境界層解像方法に関し、壁面モデルとデータ圧縮を導入した非定常乱流解析手法を構築、精度と実用性を確認した。別のアプローチとして、境界層方程式やGridless法の導入による高レイノルズ数流れ解析手法の構築も行い、その検証を進めて各手法の利点と課題を評価した。研究成果は主要な英文ジャーナル等に掲載された。 次世代CFDの大規模計算実用化に向け、複数の大規模計算機を用いた評価を通じて計算機やシステムのアーキテクチャを考慮したアルゴリズムやデータ構造、並列化、通信方法について検討を行い、通信を最小限に抑える並列アルゴリズムや計算割当、ノード性能の高い計算機を用いた利用ノード数の削減が重要となることが分かった。これにより、大規模計算機と計算アルゴリズムを密に連携した次世代CFDの研究開発を進めるための重要な知見を得ることができた。また、億オーダの格子点による大規模非定常流体解析を京コンピュータにおいて6万5千CPUコアを利用し実行して良好なスケーラビリティを得ている。 BCMソルバーの応用研究として、航空機の脚からの空力音解析評価を従来ソルバーと比較し、脚のような複雑形状周りの騒音解析の精度向上を確認した。低騒音航空機開発のための実用的ツールとして大いに期待できる。騒音解析のための線形オイラー方程式のBCMソルバーについてもベクトル化・MPI並列化により大規模解析に向けた準備を行っている。任意物質や超臨界流体が数値計算できる超臨界流体シミュレータにもBCMを組み込み、複雑形状周りの二次元熱対流問題の計算に成功して日本機械学会論文集B編に掲載された。その他、ショックフリー翼型や流路のトポロジー最適化など最適化問題への利用も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Building-Cube Methodの最大の課題である高レイルノズ数域での境界層の解像方法に関して開発に手間取ったものの、データ圧縮や空力騒音解析等の応用研究も進み、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度として、Building-Cube Method(BCM)流体ソルバーの完成を目指すとともに、提案した壁境界の取り扱い、乱流モデル、計算ブロック境界接続法、データ圧縮法、高速格子生成法等のBCMのコア技術のモジュール化を行うことで、研究成果が更に広く活用されるよう整備する。また、従来のCFDでは非効率・困難であった複雑形状・大規模流れ解析に適用して有用性を示す。次世代CFDに適したポストペタフロップス計算機の概念設計への反映も重要である。 今年度末には国際会議にて「次世代CFD」を企画し、本課題の研究成果の発表機会を設ける。このことで、ペタフロップス級計算機時代における数値流体力学の新たな方向性をアピールする。
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Research Products
(22 results)