2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21227004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 栄介 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60143369)
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Keywords | 寿命制御 / 老化 / 食餌制限 / カロリー制限 / 飢餓ストレス応答 / 初期胚発生 / MAPキナーゼ経路 / Hippo経路 |
Research Abstract |
Calorie Restriction (CR)とIntermittent Fasting (IF)という2種類の食餌制限によって、ストレス耐性および寿命が促進されるときの分子的基盤の全貌を明らかにすることを目標として、飢餓ストレスによる遺伝子発現のゲノムワイド解析を行い、短期、中期、並びに長期の飢餓ストレスにより引き起こされる遺伝子発現変化を網羅的に解析した。さらに、それぞれの変化を担う転写因子をin silicoで推定し、その転写因子の寿命制御における役割を解析した。その結果、前年度までにIF(断続的飢餓)による寿命延長に関与することが明らかになったストレス応答性MAPキナーゼ(MAPK)経路の下流因子の候補が同定できた。また、寿命を制御する新たなシグナル伝達経路についての予備的な実験を開始し、複数の寿命制御因子の候補を同定した。進化的に保存されているが解析の進んでいないMAPKカスケード構成因子のXenopusホモログについて遺伝子ノックダウンを行ない、その表現型を詳細に解析して発生過程における役割を網羅的に調べることにより、新規のシグナル伝達経路の同定を目指す実験から、MAPKファミリー分子ERK7並びにMAPKKKファミリー分子MLTKが初期胚発生において重要な役割を果たしていることの予備的結果を得た。それらの分子と相互作用する経路の解析を進めている。また、今年度より、MAPKファミリー分子ERK3/4についての解析を新たに開始した。哺乳類小腸上皮細胞の系において、Hippoシグナル伝達経路の下流で機能する転写制御因子YAP/TAZがWnt/beta-catenin経路によって駆動される転写を制御する分子機構を解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
寿命ならびに発生を制御する分子機構について、当初の目的にそっておおむね順調に成果が得られている。また、その分子機構を含むシグナル伝達ネットワークの解析も新たな経路の同定も含め、順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
食餌制限による寿命延長の分子機構ならびに新規寿命制御因子の同定と解析について、さらに解析を進める。また、初期胚発生を制御する新規シグナル伝達経路の同定を進める。
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