2012 Fiscal Year Annual Research Report
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21227004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 栄介 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60143369)
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Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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Keywords | 寿命制御 / 老化 / 食餌制限 / 飢餓ストレス応答 / AP-1 / 初期胚発生 / MAPキナーゼ経路 / Hippo経路 |
Research Abstract |
断続的飢餓(断続的絶食)という食餌制限の手法によって、ストレス耐性および寿命が促進される場合の分子的基盤を明らかにするために、飢餓ストレスによる遺伝子発現の網羅的解析を行い、それを担う転写因子として、AP-1転写因子を同定した。AP-1転写因子は、JUN-1とFOS-1のヘテロ二量体であるが、JUN-1とFOS-1が共にストレス耐性と寿命の延長に重要な役割を果たすことを示した。また、線虫JNKの一つであるKGB-1が、AP-1転写因子の上流で働くことを明らかにした。さらに、このKGB-1/AP-1シグナル伝達経路がユビキチン/プロテアソームシステムを活性化することにより、タンパク質分解を促進することが寿命延長に重要な役割を果たすことを示した。以上の結果は、飢餓(絶食)刺激から寿命延長に至る分子機構の解明に大きく貢献するものである。また、寿命制御に関わる新たなシグナル伝達経路についての予備的な結果も得た。発生過程におけるMAPK経路ファミリー分子の機能を調べ、MAPKKKファミリー分子であるMLTKが軟骨形成に必須の役割を果たすことを示し、SOX9,SOX5,SOX6転写因子とMLTKとの関係を解析した。MAPKファミリー分子であるERK7が表皮形成に関わることを示し、その分子機構の解析を進めている。Hippoシグナル伝達経路の初期胚発生過程における役割を解析するための予備的実験に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
寿命ならびに発生を制御するシグナル伝達経路について、当初の目的に沿っておおむね順調に成果が得られている。また、シグナル伝達ネットワークの解析も新たな経路の同定も含め、おおむね順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
寿命(老化)制御の分子機構について、寿命延長に関わる新たな因子の同定も含め、さらに解析を進める。また、初期胚発生を制御するシグナル伝達ネットワークについて、新たな因子の同定も含め、さらに解析を進める。
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