2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21227007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 正幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40114706)
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Keywords | 遺伝学 / 発生・分化 / 減数分裂 / 情報伝達 / RNA |
Research Abstract |
本年度論文発表に至った2研究項目につき述べる。(1)分裂酵母で減数数分裂に必要とされる主要な遺伝子のmRNAは、それらの分解を指示する領域(DSR)をもち、栄養増殖時には「選択的除去」と呼ぶメカニズムによって細胞から除かれる。今回、種々の解析を組み合わせて、DSRにRNA結合タンパク質Mmi1pが特異的に結合すると、通常型ポリAポリメラーゼによってポリA配列が過剰伸長され、そこにポリA結合タンパク質Pab2pが結合し、これらのタンパク質が共同してヌクレアーゼ複合体エキソソームを呼び込んで、核内に大きな構造体を形成することにより分解を実行しているという模式を提唱した。(2)減数分裂の際の染色体動態の制御における微小管の役割を探る中で、体細胞分裂でも減数分裂でも核膜の崩壊は見られない分裂酵母細胞において、減数第二分裂の一時期だけに核膜の透過性が非常に昂進することを見出した。解析の結果、その時期は第二分裂で染色体の分配が始まる後期に相当していた。核膜は小胞体から作られるが、分裂酵母の減数分裂過程では小胞体の成分は小胞輸送によって胞子の前駆体へも移行する。突然変異あるいは特異的薬剤を用いて胞子形成、とくに小胞輸送を抑えると、核膜のもっ隔離作用の喪失が起きにくくなることが分かった。すなわち、一過性の核膜の透過性の増大は、前胞子膜の形成のための小胞輸送によって核膜に何らかの欠損がもたらされることに起因すると考えられた。核膜の構造が残りながら染色体分配時に核と細胞質の隔離が失われるこの現象は、高等動物などで見られる有糸分裂時の核膜の崩壊にも通じる、進化学的にも興味深いものと考えられる。
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Research Products
(6 results)