2010 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒合成を基盤とする有機イオウ・リン有用物質の高機能化と環境調和利用
| Project/Area Number |
21229001
|
|---|
| Research Institution | Tohoku University |
|---|
Principal Investigator |
山口 雅彦 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (30158117)
|
|---|
| Keywords | 遷移金属 / イオウ / リン / 触媒 / 有機合成 |
|---|
| Research Abstract |
1.触媒高活性化と触媒的平衡反応制御
イオウあるいはリンを含む単結合のメタセシス反応における高触媒活性化を検討した.とくに炭素炭素結合と炭素水素結合開裂を伴う反応の開発を中心に行った,その結果,ベンジル炭素炭素結合を切断してベンジル基が有機化合物間で移動する反応を開発した.また,αフェニルケトンと活性化基をもたないケトンα位をメチルチオ化する反応を開発した.これらはいずれも平衡反応であり,基質の構造や量を調節することで収率を制御した.
2.イオウ,リン単体の反応
芳香族フッ化物からスルフィドを与える触媒反応を検討し,トリホスフィンを用いると中間イオウが選択的に反応してジアリールスルフィドを与えた.ここでフッ素の捕捉剤が重要であることがわかった.とくにシランを用いると反応温度と触媒量を大きく低下することができた.これは中間に生じているフッ化ロジウム種からフッ素原子を取り除いて活性な触媒を再生すると考えられる.また,適切な共反応剤によって反応効率を上げることができた.
3.含イオウ・リンヘテロ環構築
遷移金属触媒反応を利用してイオウ・リンを含む新しいヘテロ環構造の効率的な構築法を開発した.ジフルオロベンゼンとケトンからロジウム触媒条件下でベンゾフランを合成する方法を確立した.塩基を用いない反応である特徴がある.また,ベンゾチアゾールおよびベンオキサゾールなどの芳香族複素環化合物を直接フェニルチオ化する反応を開発した.
4.不均一系平衡反応制御
触媒的平衡反応の効率を向上させるために,不均一反応場を設計するための予備的な実験を行った.クロマトグラフィーに用いるための二成分系有機ゲルを開発した.これはそれぞれの成分のみではゲルを形成しないが,混合することによってはじめてゲルを形成する物質システムである.混合する成分によって,物質の透過度を制御できることがわかった.
|
Research Products
(8 results)
