2012 Fiscal Year Annual Research Report
CCR4-NOTデアデニレース欠損に伴う病態解析と新たな遺伝子発現制御機構
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21229006
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
山本 雅 沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 教授 (40134621)
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Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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Keywords | デアデニレース / mRNA / 翻訳 / AU-rich / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
Cnots欠損マウスの病態・生理機能解析と、CCR4-NOTの標的mRNAs認識機構の解析を進めた。 (1)Abumin-promoter cre発現マウスとの交配でCnot3とCnot8遺伝子を肝臓特異的に欠損させるマウスを解析した。liver-Cnot3 KOマウスでは肝の分化が大幅に遅れ、生後の肝臓が胎児様の肝であった。またliver-Cnot8 KOマウスは高脂肪食下で顕著な体重増加がなかった。 (2)上記マウス肝での遺伝子発現のマイクロアレイ解析、RT-PCR解析を行った。liver-Cnot3 KOマウスでは、AFPやH19, IGF2などの胎児肝特異的な遺伝子や代謝関連遺伝子の発現が数倍から数百倍の範囲で増大していた。liver-Cnot8 KOマウスでは野生型に比べ肝臓でエネルギー代謝関連、インシュリンシグナル関連、そしてEGFRの遺伝子発現が上昇数倍から数十倍の範囲で増大していた。 (3)上記発現上昇mRNAの半減期やpoly(A)鎖を調べた。肝細胞をアクチノマイシン処理る実験から、CNOT3非存在で発現上昇している多くのmRNAは半減期がコントロールに比べ長いことを確認した。またCNOT8を欠く肝細胞では、IGFBP2やEGFR mRNAのpoly(A)鎖がコントロールに比べ長いことを見出した。 (4)X線結晶構造解析に向けて、TagつきCNOT3全長配列、CCR4-NOT複合体の形成に重要と考えられるCNOT2,CNOT3のNOT box配列を調製した。また、PABP-Tob-CNOT7複合体解析に向けて、夫々の蛋白質を調製した。活性サブユニットCNOT6LとCNOT7会合体を結晶化した。また新規CNOT3会合蛋白質としてTAB182やMINKを見出した。 (5)培養細胞を増殖因子等で刺激後に不安定化あるいは安定化するmRNA種を探索する実験系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CCR4-NOT構成成分夫々を欠くマウスラインを得、それら成分を臓器特異的に欠損するマウスラインを自由に作れることになり生理学研究の大々的展開が可能となった。CCR4-NOTの標的候補mRNAを当初の予定通りすでにいくつか得ている。これらの標的mRNAとCCR4-NOTの物理的機能的会合については昨年度に引き続き進展している。蛋白質構造解析も着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに研究機関で導入するMRI解析により作成したマウスラインの解剖学的生理学的解析に力を入れる。またCCR4-NOTによる標的mRNA認識機構の解析に力を注ぎ特にmiRNAやGW182、PABPの関与を分子生物学的に、また構造生物学的に明らかにすることを意識し、mRNA分解の基本的反応機構を明らかにする。
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