2011 Fiscal Year Annual Research Report
プライバシー・センシティブな視覚情報のセンシングと保護処理
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21240016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場口 登 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30156541)
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Keywords | 視覚情報 / プライバシー保護 / プライバシー・センシティブ情報 / 視覚的抽象化 / モバイルカメラ / 注目領域 / 撮影者の意図 |
Research Abstract |
本研究の目的は、モバイルカメラを通して得られる視覚情報からPSI (Privacy-Sensitive Information)を分離し、PSIを保護する画像処理法を確立することである。本年度に実施した研究内容を以下にまとめる。 (1)視覚情報からのPSIの分離・抽出と自然なPSI保護画像の生成 視覚情報中のPSIの候補となる領域を、人物像、顔など人間に関連する領域、あるいは人間以外の領域に分類し、それぞれに有効なPSI分離抽出の画像処理手法を明らかにする必要がある。本年度は、撮影者の撮影意図によってPSIが変化することに着目し、撮影意図に必要な領域(意図領域)と不必要な領域(非意図領域)に分離することを検討した。意図領域に人物を対象とした場合には、被写体人物に対するカメラの動きに基づき、意図的に撮影された人物と偶然写り込んだ人物の識別により、後者の領域をPSIとして分離、除去する手法を開発した。背景推定を用いて、偶然写り込んだ人物の領域の9割以上を除去可能であることを実験的に示した。一方、意図領域に人物以外の場合も検討し、意図領域の動きと他の領域の動きとの特徴上の差異に着目し、映像から得られる点軌跡に基づいて意図領域を抽出する手法を提案し、その有効性を実験的に検証した。 (2)プライバシー保護機能付きモバイルセンシングシステムの試作 テーマ(1)の意図領域と非意図領域の分離手法を基に、プライバシー保護機能付きモバイルセンシングシステムを試作し、撮影者の意図を考慮したプライバシー保護映像のリアルタイム生成を実現した。カメラの動きを得るために慣性計測デバイスを導入し、導入しない場合に比べ処理時間を約30倍高速にすることができた。また、プライバシー保護映像配信において結託耐性を向上させる手法について基礎的考察を行った。
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