2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21240030
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
川口 泰雄 National Institute for Physiological Sciences, 大脳皮質機能研究系, 教授 (40169694)
|
Keywords | 大脳皮質 / 局所回路 / シナプス結合 / 電子顕微鏡 / 錐体細胞 / 介在細胞 / FS細胞 / GABA |
Research Abstract |
大脳機能を支える前頭皮質局所神経回路の構成を調べることを目標にし、(1)形態的シナプス同定基準の検討、(1)介在細胞サブタイプに依存した興奮性経路抑制の解析を行った。(1)これまでの電顕でのシナプス同定規準では、切片面に近い角度に存在するクレフト面を持つシナプス結合は見逃してしまう。この問題点を改善するために以下の方法を導入した。切片面に平行に近い角度のクレフト面を持つシナプス結合は、連続切片を使って、従来のシナプス結合の同定に使われている同一切片で観察できる構造要素が、順序通りに連続切片で観察できる場合は、それをシナプスと判断できる事を、トモグラフィ解析を組み合わせて確認した。新しい基準でGABA細胞の樹状突起表面に入力するシナプス数を測定したところ、およそ3分の1から半分程度のシナプスを新たに確認することができた。これは、旧来のシナプス同定法だけでは、シナプスの多くを見落としてしまう可能性があることを示している。(2)新皮質局所回路における多様なサブタイプからなる抑制性細胞と興奮性サブネットワークとの関係はあまり調べられていない。介在細胞サブタイプが前頭皮質内の興奮性経路を選択的に抑制するかどうかを見るために、5層錐体細胞と介在細胞サブタイプの間の結合特性をスライス標本で同時ホールセル記録することで、それらへの2/3層からの興奮性入力パターンをグルタミン酸刺激法により調べた。5層non-FS細胞と錐体細胞では、その間にシナプス結合があると2/3層錐体細胞から共通入力する確率が高くなったのに対して、5層FS/錐体細胞ペアーに対する2/3層錐体細胞からの共通入力確率は5層細胞間結合の有無には依存しなかった。以上の結果から、選択的興奮性結合によって作られる錐体細胞サブネットワークの抑制様式は、介在細胞サブタイプごとに異なることがわかった。
|