2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21240030
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
川口 泰雄 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 教授 (40169694)
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Keywords | 大脳皮質 / 錐体細胞 / GABA / セロトニン |
Research Abstract |
新皮質回路の理解にはニューロンタイプを同定した上で、神経結合ルールと、シナプス特性や伝達物質作用を明らかにする必要がある。本年度は、錐体細胞シナプス伝達とGABA細胞へのセロトニン(5HT)作用を検討した。(1)対側皮質へ投射する錐体細胞(交連細胞)は左右半球の機能的協調を担っている。交連細胞の機能的構成やそれらのサブネットワークを明らかにするために、5層交連細胞の電気的・形態的性質とシナプス入力を解析した。5層交連細胞は、脱分極に対して発火が順応しにくいタイプ(SAタイプ)と順応しやすいもの(FAタイプ)に分かれた。尖端樹状突起タフトは、前者の方で発達していた。5層交連細胞は、5層内では同じ発火タイプどうしでよく結合しており、2/3層からのレイヤー間結合では、2/3層細胞の中でも同じ交連細胞からの入力を受けやすかった。5層交連細胞結合の短期可塑性は、シナプス前・後細胞のタイプによらず、シナプス強度が強くなると抑圧的になった。一次体性感覚野や後部頭頂野などの同側遠隔皮質にも投射する交連細胞はFAタイプであった。対側皮質にも軸索を送る対側線条体投射細胞がFAタイプであることを考えると、交連結合は同側皮質連合投射や皮質下投射が異なる複数のサブネットワークからできていることが分かった。(2)縫線核からの5HTばかりでなく、皮質GABA細胞一つであるパルブアルブミン(PV)細胞の変化が精神疾患へ関与することがが示唆されている。PV細胞は皮質ガンマ振動にも関係している。5HTの1A、2A受容体はともに一部のPV細胞に見られたが、両方の受容体を発現するPV細胞は少なかった。2A受容体拮抗薬投与で、皮質電場電位のガンマ波が減弱したのに対して、1Aタイプの拮抗薬ではその増強が見られた。これらから、ガンマ波がパルブアルブミン細胞の1A、2A受容体を介して調節される可能性が明らかになった。
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