2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21240030
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
川口 泰雄 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 教授 (40169694)
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Keywords | 新皮質 / 前頭皮質 / 錐体細胞 / 橋核 / 線条体 / 逆行性標識 / 局所回路 / シナプス電流 |
Research Abstract |
前頭皮質5層から大脳基底核の線条体に投射する、二つの独立した錐体細胞タイプで、レイヤー構造に依存した形態分化、結合確率、相互結合頻度、シナプス伝達強度、短期可塑性を比較検討した。同側線条体と橋核へ投射する錐体細胞(CPn細胞)と両側線条体へ行くもめ(CCS細胞)を、それぞれ橋核と対側線条体への逆行性トレーサー注入で蛍光標識して同定した。同じタイプ間でのシナプス結合を見ると、CPn細胞でもCCS細胞でもほぼ同じ確率で結合していたが、相互結合はCPn細胞で約3倍多く見られた。シナプス伝達はCPn細胞で強く、特に相互結合するCPn細胞の片方向で非常に大きいシナプス電流が観測された。シナプス伝達の短期可塑性では、CPn細胞では促通が、CCS細胞では抑圧がよく見られた。前頭皮質5層は、視床入力が弱い上部の5a層と、強い下部の5b層という、二つのサブレイヤーに分けられる。樹状突起分枝様式は、錐体細胞タイプ間で違うだけでなく、同じタイプでも細胞体のあるサブレイヤーの間で異なっていた。異なる視床入力が来る1層や2/3層での樹状突起分枝様式も、投射タイプ、その5層サブレイヤーグループ間で異なっていた。投射タイプ間のシナプス結合がCCS細胞からCPn細胞という一方向性であることを考えあわせると、錐体細胞投射システムは皮質下構造への投射の仕方と視床入力の受け方で機能的に異なる出力チャネルを形成し、チャネル内部やチャネル間を流れる信号は、シナプス結合・伝達特性が特異的に組織化された回路網を通ると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究計画で主要な目標としていた、新皮質5層錐体細胞間のシナプス伝達に多様性があることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
橋核と対側線条体投射細胞の機能分化を更に理解するために、他の皮質ニューロンタイプからの入力特性を調べる予定にしている。
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