2010 Fiscal Year Annual Research Report
LRR膜貫通型タンパク質ファミリー機能不全による神経疾患発症機序の解明
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21240031
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
有賀 純 独立行政法人理化学研究所, 行動発達障害研究チーム, チームリーダー (10232076)
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Keywords | 比較ゲノム解析 / 膜貫通タンパク質 / 遺伝子ターゲッティング / 行動解析 / 神経回路形成 / 精神神経疾患 / 疾患モデル動物 / 高次脳機能障害 |
Research Abstract |
(1)主に脳神経系に存在し、神経突起の伸展を調節する機能を持つ細胞膜貫通型タンパク質SLITRKファミリーの1つSLITRK6を欠損するマウスを作製したところ、ニューロトロフィン欠損マウスに似た内耳の異常を観察した(Katayama et al. PLoS ONE, 2009, 4 : e7786)。さらにSLITRK6欠損マウスの聴力検査を行ったところ、感音難聴が認められた(Matsumoto et al., 2010)。また、前庭動眼反射を評価することにより、このマウスの前庭期間の回転の検知能力には水平方向・垂直方向の違いがあることを見いだした。これらの発見を基に、現在共同研究者と共にSLITRK6のヒト遺伝性神経疾患発症への関与を検討している。 (2)Slitrkファミリー、Lrfnファミリー、Lrrtmファミリーなどを含む15種類の遺伝子について、ノックアウトマウスが作製され、行動・形態・生理などの多角的な解析が進められた。その結果、これらのマウスはすべてヒトの精神神経疾患と関連した行動異常を示すことが明らかになり、遺伝子産物の一部はシナプス形成、シナプス機能維持、神経回路形成で重要な役割をもつことが明らかになりつつある。一方、プロジェクトの進行と同時に外国のグループが患者DNAを用いた大規模な遺伝子マッピング解析により、これらのうちのいくつかが、疾患の発症と関連する可能性が示された。これらには統合失調症、躁うつ病、自閉症、トゥレット症候群などが含まれている。マウスに現れた脳機能の以上から考えれば、今後も標的としたほかの遺伝子が精神疾患の原因遺伝子と確認される可能性は高いと考えられる。
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Research Products
(13 results)